史子の心理学 Vol.1

史子の心理学:デートでは絶対NG。高学歴が無意識にしがちな“非モテ発言”とは?

脳内カテゴライズは、“謙虚に褒めながら、活用せよ”


「いいこと?脳内カテゴライズのキモは、“謙虚に褒めながら活用する”ことよ」

こくこく、と翔と景子は首を縦にふる。もはや従順な、可愛らしい犬のようだ。

「まず、翔。男性が女性に対して最初にすべきは、“質問”よ」

質問…、と翔は間のぬけた声を出す。

「質問して相手の考えを引き出し、分析して、褒める。そうすれば決めつけにならないから、『分かってくれてる』って株が急上昇するわよ」

「言うは易く、行うは難し…って気がするなあ」

心細そうにつぶやく翔に、「そんなに難しいことではないわ」と史子が応じる。

「例えば、さっきの国立大女性の話。なぜ国立大にしたのか聞く中で、『全部そこそこで、突出して得意な科目がなくて』って話が出たとするでしょ?

そうしたら、『全部がいいなんて、すごいよ。器用なことって魅力的だと思う』って言えばいいの」

え、そんなことでいいの?と翔は驚く。

「さらに一歩進めるなら、“差別化”もしてみて。『俺の周りにはいないタイプだよ』とかね。女子の“特別でありたい願望”をくすぐるの」

史子の言葉に、景子は共感したように、強くうなずく。


「そして、景子。女性から男性へは、“アメとムチ作戦”が効果的よ」

なんだかドキドキするな、とからかう翔を肘でこづきながら、景子は先をうながす。

「景子が好きな仕事のデキるタイプの男性は、プライドが高い一方で、自分を振り回す女性に惹かれるの。

だからまず、長所をとにかく褒める。一方で、欠点を少しだけいじる。最後に、ほんのり甘い言葉をのせて、完成よ」

例えば翔なら…、と史子は翔の方に向き直る。

「翔って、色々なことに詳しいし、いつも先回りしてプランニングしてくれるし…本当に仕事ができて、気がきく人だよね」

え、そう?とはにかむ翔をにこやかに見つめながら、史子は続ける。

「たまに頭が良すぎて、理屈っぽいところがあるけどね。でも私、そういう人、好き」

あ、ありがとう…、と少し顔を赤くする翔を横目で見ながら、景子は「私にできるかしら…」と頼りなさげにつぶやく。

「好き、までは言わなくていいけど、落とした後に上げるのは、男の人を振りまわす鉄則よ。

さらに言うなら、褒めるときに『私にはできない』っていう尊敬の念をこめると効果バツグン。高学歴女性がやるほど、男の自尊心をくすぐるんじゃないかしら」

なるほどね…!と、翔と景子は顔を見合わせる。

史子はその様子をほほ笑ましく見ながら、「まずはお互いで練習してみたら?」と提案してみた。



「実は、つきあうことになったの…」

翔と景子から恥ずかしそうに報告を受けたのは、その1ヵ月後だった。

―2人とも素直だから…本当にお互いで練習したのかしら。

史子は呆れたように笑いながら、2人が幸せになりますように、と心から願うのだった。


▶NEXT:5月8日 月曜更新予定
折り合いの悪い上司をうまく手玉に取るには…どうすればいい?

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