私、美人じゃないのにモテるんです。 Vol.5

「わざとだよ?」モテる女にとって、天然に見せかけた計算アプローチはお手のもの

―美人じゃないのに、なぜかモテる。

あなたの周りに少なからず、そういう女性はいないだろうか?

「クラスで3番目に可愛い」と言われる化粧品会社勤務・莉乃(27)も、まさにそんな女だった。

莉乃と同じ食事会に参加した会社の先輩・陽菜は美人だがモテない女。食事会で参加者全員から連絡のあった莉乃を敵視するようになる。

そんな2人の前に現れたのは、イケメンのデザイナー・健太郎。陽菜は健太郎へ猛アタックを始め、莉乃を除いたチーム飲みを企画する。


夕方の春風に吹かれる彼の整った横顔に、ふと、みとれてしまう


「健太郎さん」

日が沈みはじめ、街灯が地面を照らしだした18時の表参道。ひらひら手をふると、健太郎がこちらに気づき、微笑む。

莉乃は先日、健太郎との飲み会に自分だけが呼ばれなかったことを知った。それは、陽菜の策略だ。

それならばこちらも本気を出してアタックしよう。莉乃はそう思い、さっそく健太郎を食事に誘った。すると、「ホワイトデーのお礼にごちそうさせてください」と返ってきたのだ。

「土曜日に表参道でお食事なんて、とても楽しみにしていました」

となりを歩く健太郎を見上げて、莉乃は笑いかける。

女ざかりの27歳。これまでにもお食事会やデートで、舌がうなるような西麻布や六本木のレストランに連れていってもらったことは、何度もある。それでもやっぱり、少なからず好意を抱く人と行くご飯は、格別だ。莉乃は、相手がお店を選んでくれたことに、おしみなく嬉しさと感謝を表すようにしている。

「もう、桜の季節ですね。すぐそこの代々木公園、お花見で人がいっぱいでしたよ」

莉乃は公園のほうに指をさす。すると健太郎は、少し赤くなった鼻をすすって、きれいな指でおさえた。

「僕、桜大好きなんです。でも花粉症がひどくて。まだ今年はお花見、行ってないんです」

―このひと、何しても絵になるんだなあ。

夕方の春風に吹かれる整った横顔に、ふと、みとれてしまう。

「あ、お店。ここです」

健太郎の声で、はっと我にかえった。

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