靴と東京と私 Vol.8

女には、自分の道しるべとなるような靴が必要だ。一足に20万円かける、女の葛藤

いつの時代も、靴が女性を素敵な場所へと誘う。

どんな靴を履くのか。そこに女性の今後の人生に対する、強い意思が宿る。

2017年の東京を歩きゆく女たち。

彼女たちは、人生のパートナーとして、どのブランドの靴を選ぶのか。

靴と東京と私。靴なしでは、女の人生は語れない。


【レネカオヴィラを履く女】

名前:萌
年齢:34歳
職業:コンサル会社経営
住まい:神谷町
好きな店:『ティエリー・マルクス』『アポロ』『レストラン・オザミ』

24歳、できれば他力本願で生きていきたい


世界中のセレブを虜にしてきた、イタリアの高級靴ブランド・レネカオヴィラ。

私がこの靴と最初に出会ったのは、大学の卒業旅行でイタリアを訪れた時だった。

あまりにも美しい、芸術作品とも呼べるクリスタルのビジューが施された靴を一目見て、私はすっかり恋に落ちた。

女性なら、誰もが一度はあるのではないだろうか?

“靴と目が合い”、そしてその靴を“何としてでも持って帰りたい”という衝動に駆られたことが。

その靴を履いて闊歩している自分を想像するだけで、世界はバラ色に彩られる。

私の場合、このレネカオヴィラの靴がそうだった。この靴を履いて、素敵な旦那様の隣で静かに微笑む自分の未来の姿を想像するだけで、思わず口元が緩んだ。

もちろん、22歳だった私に一足10万以上もする靴を買う余裕はなく、“いつか成功したら、必ず手に入れる”と決めていた靴だ。

しかし思いの外、ファースト・レネカオヴィラは早くやってくる。24歳の時、当時付き合っていた彼がプレゼントしてくれたのだ。

その時の私は典型的な港区女子だったと思う。

全ては自分の思い通りになると信じて疑わず、我儘も何もかも若さゆえ許されたのに、自分の実力だと勘違いしていた。

「萌に似合うと思ったんだ。」

そう言って、華奢な11cmのピンヒールに繊細なクリスタルがついたレネカオヴィラのパンプスを私にプレゼントしてくれた既婚者の彼氏とは、結局27歳で別れた。

もう既婚者とは付き合わない。
そう誓った恋愛だった。

【靴と東京と私】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo