二子玉川の妻たちは Vol.11

二子玉川の妻たちは:見栄を張るのもほどほどに。家計を蝕む自称スタイリスト妻の実態。

結婚は、女の幸せ。

そう考える種類の女にとっても、結婚は必要条件に過ぎない。

結婚しただけでは満たされない。女たちの欲望は、もっと根深いものだ。

おうちサロンをオープンし、マトラッセ事件などで傷つきながらも、徐々に頭角を現す由美を中心にサロネーゼ模様を描いてきた。

一方、昨今の主婦起業ブームに目をつけ、起業コンサルタントを名乗る女もいる。ゆるふわ起業コンサルタントとして知名度を上げてきた小泉淳子。数々の雑誌に取り上げられている彼女の元には、次から次へと迷える子羊たちがやってくる。

今回、淳子のコンサルティングを受けにやってきたのは、勘違い自称スタイリスト妻の小百合。


ほとんどの女は、自分を客観視できていない。


ウェスティンホテル東京の『ザ・テラス』

大きな窓から差し込む柔らかい黄金色の光が、夕刻の訪れを教えている。

―世の中には、自分を客観視できない女が多すぎる。

ゆるふわ起業コンサルタント・小泉淳子は、目の前に座る女に気づかれないよう、心の中で大きなため息をついた。

淳子の目前に座っているのは、香坂小百合。

彼女もまた、以前紹介した、とにかく現状から逃げたいだけのOLあかりと同様、淳子の個人コンサルティングを希望してやってきたのだ。

「私、昔からお洋服が大好きで。ファッション関連の起業を考えているんです。」

小百合の言葉を聞いて、淳子は不覚にも言葉を失った。
ファッション関連の起業?あなたが?…とは、とても言えない。

小百合は、白シャツに中途半端に広がったフレアスカートを履いていた。

首元に巻いたスカーフに、彼女なりに流行を取り入れた頑張りは認めるものの、こなれ感は皆無。白シャツのラインが古臭く、どうも垢抜けないのだ。

井の中の蛙大海を知らず。

小百合はおそらく箱入りで育ち、閉ざされたコミュニティで生きてきた種類の女なのだ、と起業コンサルタント・淳子は分析する。

上には上がいるということを知らずに生きてきた女ほど、根拠のない自信に満ちていて手に負えない。

【二子玉川の妻たちは】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo