フォックス・アンブレラの男 Vol.10

「孤独」が男を成長させる。弱音を吐けぬ男たちに一本の傘が教えてくれたこと

たかが、傘1本。されど、傘1本。

その傘に、男の哲学が宿る。

英国製の紳士淑女のための傘、フォックス・アンブレラ。英国王室御用達で約150年の伝統を持つ、細く巻け、開けている時も美しい、細身傘の代名詞だ。

そんなフォックス・アンブレラを愛する男、克典42歳。傘から垣間見える人間性と、そこで繰り広げられる人間模様。ミステリアスな克典を、傘を通じて様々な女性が振り返る。

これまでに、克典が昔恋をした年上のお姉さん梨香子や結婚願望のない克典に嫌気がさして別れた亜美、独身で焦る32歳の千夏を紹介した。

最終回の今回は、遂に克典本人の口から語られる。


虚無感と共に過ごしてきた日々


生涯独りで生きて行く...そう思っていました。

学生時代から群れることが嫌いでした。体裁的には何となく目立つグループの友人もおりましたが。人生に対して特に不満も失敗もなく、学生の時も、新卒で大手広告代理店に入った時も、本気で何かと向き合うことはなく、誰かを蹴落としででも上に行きたいなどの貪欲な上昇志向を抱いたことは一度もなかったと記憶しています。

—何となく、過ぎていく日々...

寝ていても、“外回り”と言って何処かで休憩していても会社員だから給料は入ってくる。自分一人いないくらいで会社は何も変わらない。この世界の中で、自分は透明人間のように何者でもなく、ただ東京が放つ鮮やかな色彩を一歩引いた所から眩しそうに眺めているような人間でした。

でも、そんな無色透明の人間では愛する人を幸せにできない。

30歳の時、最愛の妻・美奈を失った時に初めて大事なことに気が付きました。

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