And you would hide away and find your peace of mind
-あなたの逃げ場所は、私よりずっと素敵なあの子のところ-
あの日だけは、いつもの言葉を告げずに家を出て行った彼。
今頃別の女の家に転がりこんでいるのだろう。相手はだいたい想像がつく、最近人気の新人アーティスト。
私なんかよりずっとキレイでセンスも良くて。あいつ、元々、そういう子がタイプだったもんな。
あまりの分かりやすさに、呆れて笑ってしまう。
This is exhausting you know…
-てゆうかもう、疲れた-
気晴らしがてら大学時代の女友達と集まってみるものの、口をついて出てくるのは彼の愚痴ばかり。
「二人は永遠だって思ってたのに、浮気は絶対許せない」
「未だに連絡してきて、好きだとか調子いいこと言ってさ。」
友達に恋人の悪口を言う女は、ひどくブサイクだ。
私の中で、彼への恋愛感情が、もうほとんど残っていないことに気がつく。
とぼとぼと歩く帰り道。
秋の目黒川沿いの密やかな美しさは、この街に住んで初めて知った、東京の好きなところ。
マンションに到着し自分の部屋を見上げると、明かりが灯っていることに気がついた。
消し忘れ、心配性な私に限ってそんなわけはない。
ということは...
This time I’m telling you, I’m telling you…
-彼に会ったら、次こそ告げるお別れの言葉-
ガチャガチャ...
決心とともに鍵を開けると、リビングにはやはり、彼。
ヒリヒリと、痛い程に走る緊張感。
次の瞬間、彼から出てきた一言は意外すぎるものだった。
「俺たち、距離を置こう。」
「...は?」
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