※記事内で紹介している店舗『ikra』は、店名を『HaRe Gastronomia』へ変更しています。
この記事は、店名変更以前の情報です。
「へぇ~、じゃあ使ってみる!最近私も良い化粧水見つけたよ」
そんな事を言い合い、情報交換をする二人だった。
◆
ある日の木曜日、美加は亮介への後ろめたさを抱えながら『ikra』へと急いでいた。
今日は、久しぶりに食事会へ行くことになってしまったのだ。亮介と付き合う前から決まっていた食事会で、どうしても断れなかった。「人数が足りないからお願い!」と頼みこまれ、先に帰る事を条件に渋々OKした。
今までは彼氏がいても食事会に行く事なんて平気だった。だが、今の美加は違う。亮介との関係を大切にしたいと思っており、本当は行きたくなかった。
―1時間経ったら帰ろう……。
そう決めていた。
店に着くと、すでに男女二人ずつがテーブルを囲んでいた。女性は全員揃い、男性が一人遅れているらしかった。
女性は大学からの友人同士、男性は全員医者だ。亮介と付き合う前の美加であれば、並々ならぬ思いを持って挑んだであろう食事会だ。だが、今となっては特に興味はない。早く時間が過ぎるのを待つばかりだった。
そして最後の一人の男性が現れた時、美加は固まってしまった。
元カレのヒロキが現れたからだ。ヒロキも美加に気付くと動きを止めて驚いた表情を見せた。二人の微妙な空気に周りも気付き、ヒロキが白状した。
「黙ってるのも変だから言っちゃうけど、実は俺たち昔付き合ってたんだ」
場が一瞬静まりかえる。沈黙を破ったのは、やはりヒロキだった。それも、美加にとっては最悪の形で破られることとなった。
「あれ、それって俺があげた指輪だよね?まだ着けてるの?」
「あ、うん……」
「小指にはサイズ合わないはずだけど、まさかリサイズしたの?なんか、すごいねその根性」
美加は咄嗟に右手を被せて指輪を隠したが、その場には気まずい空気が流れてしまい、今すぐにでも帰りたい衝動に駆られた。
次回12月9日(金)更新
食事会に行ったことが亮介の耳に入り、美加はさらに追い込まれてしまう……?!
■衣装協力:1ページ目/ベージュVネックノースリブラウス¥17,000 黒パンツ¥17,000(ともにソブ/フィルム03-5413-4141)その他<スタイリスト私物>2ページ目/白シフォンブラウス¥17,000 シャンパンゴールドスカート¥20,000(すべてナチュラルビューティー/東京スタイル03-6748-0342)その他<スタイリスト私物>