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  • 美人探偵・貴崎桜子の事件簿 Vol.4

    美人探偵・貴崎桜子の事件簿:女がコートを脱いだとき、男は歪んだ愛情を暴露する

    「30!30歳だ!」

    いきなり解き勝負を始められて焦ったが、なんとか奥田より先に答えを導く事に成功した。今回は桜子の年齢を知る事が出来て、達成感はひとしおだった。

    一方の奥田は、悔しそうに大きな声を出してその場に膝から崩れ落ちた。


    「奥田さん、残念ね。あなたは勝負に負けたわ。それに、今まであなたがやってきたことは立派な犯罪よ。警察に行って自首しなさい」

    桜子が力強く言うと、奥田は何も言わずにがくりと頭を垂れるだけだった。

    その後、私たちはディアブロを飲みきるとすぐに『アドニスタ』を出た。

    私の胸は期待でいっぱいだった。奥田より先に謎を解いたのだから、今夜桜子が泊まるホテルくらいは教えてくれるだろうと予想したのだ。

    私はもう、ホテルまで彼女を送るつもりでタクシーを探し始めた。桜子を見ると、彼女も無言でコクリと頷いた。

    私は早くタクシーを止めなければと、歩道から身を乗り出すようにしてタクシーを探した。数台見送ったあと、やっとのことで1台が止まってくれた。

    ―よしっ!

    そう思って振り返ると、そこにはもう彼女の姿はなかった。煙のように、ほのかに甘い香りだけを残して消えてしまっていたのだ。

    急いでスマホをポケットから取り出すと、「じゃあ、またね」とのメッセージがちょうど届いた。

    1カ月後・・・


    奥田はきちんと自首して、マミさんも関係者に謝罪を済ませ今ではキャビアバーに復帰したらしい。

    一連の謎解きゲームを仕掛けた犯人が奥田だった事がわかり、もう謎解きはしなくていいのだと思うと、私の胸はなんだかすっきりした。

    だが、桜子とはあれから一度も会えていない。電話をしても出ない、メッセージを送っても返事が返ってくるのはごくまれ。あの夜を逃してしまった事を何度も後悔し、反省した。

    桜子との謎解きデートが淡い思い出になろうとした頃、スマホの着信音が深夜の私の部屋で鳴り響いた。画面には「桜子」の文字が浮かんでおり、暗い部屋でスマホだけが煌々と輝いた。

    私は何の迷いもなくこの電話を受けた。

    そう、本当の謎解きがこれから始まる事を、この時の私はまだ、知らなかったのだ。


    次回12月24日(土)配信
    終ったはずの謎解きゲーム、だが、更に手強い謎が桜子の前に突き付けられてしまい……?!

    ■撮影協力:シャングリラズ シークレット
    ■衣装協力:ブルーロングワンピース¥32,000(ソブ)ピアス¥5,500 ネックレス¥6,500 バングル<3本セット価格>¥16,000(すべてダブルスタンダードクロージング アクセソワ/フィルム 03-5413-4141)

    ディアブロ_4話目PC

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