崖っぷち結婚相談所 Vol.14

崖っぷち結婚相談所:元彼との一夜で感じる、至福のひと時。不毛な婚活は、もう、したくない。

典型的な結婚できない女、杏子、32歳。

慶應大学卒業後、丸の内の某外資系金融でセールス職に就き、年収は2,000万円を優に超える。

美人だがプライドが高くワガママな彼女は、男運が悪く全くモテない。さらにハイスペックゆえ、男が近寄りたくない女ナンバーワンとまで噂されている。

婚活に危機感を持ち始めた杏子は、結婚相談所に登録した。婚活アドバイザーの直人からアドバイスを受け、少しずつ男女のノウハウを学んでいく。しかし、2回目のマッチング相手・正木イイ感じになったと思いきや、まさかの大失恋。そして傷心の折、元彼の知樹に熱心に口説かれ...?!


人肌の温もりは、理屈ではない、圧倒的な癒し効果がある


朝5時過ぎ、杏子が目を覚ますと、隣には知樹が半裸で横たわっていた。

―頭が痛い...。

完全に、二日酔いだった。杏子は、徐々に記憶を取り戻していく。

―そうだ、私、知樹と寝ちゃったんだわ...。

思い返せば、この週末は、疲労の連続だった。陸ガメ男・桜田とのマッチングから始まり、正木に他の女との結婚報告をされ、そして傷心のまま、元彼と一夜過ごしてしまったのだ。

この行動は、果たして正しかったのだろうか。安易に流されてしまっただけではないのか。杏子は自己嫌悪のような感情に襲われる一方で、しかし、安堵感を覚えてもいた。

昨晩、知樹から存分に囁かれた、甘い言葉たち。

「やっぱり、杏子が一番だよ」
「俺に本当に必要なのは、杏子なんだ」
「杏子、好きだよ...」

そんな愛の囁きは、杏子の心の傷と疲れに染み入った。

それに、久しぶりに触れた人肌の温もりは、理屈ではない、圧倒的な癒し効果があった。性欲どうこうの問題ではない。これまでの辛い婚活を通して、杏子の精神やプライドは思った以上に荒み、自分の価値が分からなくなってしまっていた。

知樹に求められたことで、杏子は少なくとも、自分の存在価値を確認できたのは事実だった。

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