東京イノセントワールド Vol.2

東京イノセントワールド:またどこかで会えるといいな。東京の深い闇に惑う前の君に

欲望が渦巻き、誰もが成功を願う街、東京。

この大都会に長く住めば住むほど、大切な何かを失っていく気がしないでもない。

東京の独特な空気に飲まれて心の純粋さを失い、幼い頃に描いていた夢を失い、そして本来の自分らしさも徐々に消え失せていく。

長野県から上京してきた美穂と慎吾。大都会に揉まれながら、東京に染まっていく二人は都会の片隅でイノセントさを失わずにいられるのだろうか?

美穂は、東京出身のマリエに対するコンプレックスから医者と一夜を共にしてしまう。慎吾への罪悪感に悩まされていたが...


「空が狭いなぁ...」慎吾の上京物語


「空が狭いなぁ...」

東京の空は狭かった。

地元・長野県の安曇野で毎日見ていた、大きくて澄み渡るような綺麗な青空と、東京の四角くて曇りがちな空は、同じ空でも全く違うものに見えた。



「美穂、俺、東京で就職決まったよ」

高校時代から付き合っていた美穂。でも上京して半年くらいで急に電話に出なくなり、LINEの返信もなくなった。後を追う形で、美穂から1年遅れで東京にやって来た。ようやく見つけた就職先は、IT系企業の営業職だった。

初めての就職に、初めての東京での一人暮らし。
何もかもが目新らしく、そして輝いて見えた。

—慎吾、就職決まったんだね。おめでとう!中々連絡できなくてごめんねー

1週間後に美穂から返ってきたLINEはどこか他人事で、東京に来ればヨリが戻るかも、と思っていた自分の甘さを実感した。

でも、それを見て吹っ切れた。ここから、全く新しい日々が始まる。

東京で、新たな自分になるんだ。

しかし上京して3ヶ月で、東京の過酷さを思い知ることになった。

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