東京いい街、やれる部屋3 Vol.6

表参道在住・元広告代理店勤務のデザイナー。起業した男の20平米のベッドすらない部屋

「俺の部屋に来ない?」

ラグジュアリーブランドでPRとして働くレイナ、28歳。

「部屋を見れば、その人の全てが分かる」とはよく言ったものだが、レイナは男たちの選ぶ街と部屋を見ることで、次第にその正体を知っていくことになる。

これまで行った部屋は代々木公園在住のこだわり男洋介、広尾在住の残念なイケメン商社マン・浩志など。今宵、訪れた部屋は…?


アラサー男子の悩み「今の会社と結婚できるか?」


「レイナちゃん、俺起業しようかと思うんだけどさぁ…。」

―また始まった。

レイナは内心うんざりしながら、相槌を打つ。

28歳。結婚したり子供がいたり、転職したり。大学を卒業して、一斉に社会へのスタートラインに立ったはずが、この歳になると大分差が出てきている。

男性は30歳前に悩むのか、最近よく聞かされる話題が「起業」だった。

起業を考える男性は、総じて二極化する。熱弁を奮うだけで結局行動に起こさないタイプと、周囲も気付かないうちにしれっと会社を辞めているタイプだ。

レイナはよくこの「熱弁タイプ」の話に付き合わされる。今日は3ヶ月だけ付き合った西麻布在住の健太から久しぶりに連絡があり、何かと思ったら、もうこうして2時間ほど彼の起業話を聞かされている。

健太は大手メガバンクのエリートサラリーマンだ。この「熱弁タイプ」は圧倒的に大企業勤務のサラリーマンが多い。女が30手前に結婚に焦るのと同じで、男も今いる会社との結び付きに悩むのだろう。65歳まで、相手から一生好かれる(順調に出世できる)可能性の方が少ないからだ。

しかしこの手のタイプは、起業もしなければ転職もしない。レイナはこの話題を早く打ち切りたくて、こう言った。

「健太君は上司にも可愛がられているし、今の会社で頑張っている姿も格好いいよ。」

(典型的なA型気質で、組織で認められることに喜びを感じるタイプ。起業は向かないと思うよ…。)

ちょうどそのときLINEが鳴った。最近気になっているデザイナーの達也からで、「今から飲もう」という誘いだった。

「じゃあまたね!」

元彼とはいえ途中で帰るのは気まずい。それでも今は達也に会いたい。

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