企業戦士タカハシ Vol.3
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  • 企業戦士タカハシ: 左遷人事からの起死回生を掴んだ男。最高峰に向けた戦いを続ける46歳、タカハシの今

    一旦は子会社出向で、会社からは見限られ、出世コースから完璧に外れたのかなと諦め気味でしたが感慨深いです。やっぱり地道に頑張ってみるものですね。人生捨てたものではないです。


    内示が出た日は、家族が寝静まった後のリビングで、一人『ヱビス マイスター』を堪能しました。やはりあの味は格別なんですよね。自分が目指す場所へ、ゆっくりだが確実に近付いている……その実感を噛みしめながら、グラスを傾けました。それは至福のひととき。僕はこの時初めて、心から自分のことを褒めたような気がします。

    これは予感ですがおそらく、今回の駐在は商社マン人生集大成の仕事になると思ってるんです。僕が目指す”最高峰”、つまり役員の椅子を手に入れられるか、否か。それが、この駐在にかかっています。

    僕ももう46歳。地味だった僕もようやくここまで来ました。
    100分の1の椅子をかけた、椅子取りゲームに参加していられる時間は限られていますから、何としてでも手に入れるべく虎視眈々と狙いますよ。

    今回は前回のコンゴ帰りのような失態はかましません。誰よりも早く出世し、人生の“最高峰”を掴んでみせますよ。


    いま、ファーストクラスでデュッセルドルフに向かっています。

    ファーストクラスの快適さを知ってしまうと、下のクラスに乗ることに抵抗がでてしまいますよね。
    搭乗手続きでは、長い行列を横目に専用ゲートからスムーズに入り、到着後も長い入国審査の行列に並ばなくて済む。

    「あ、俺はもうそっち側じゃないんだな」って、自分を取り巻く状況の変化で、自分の立ち位置を確認できますよね。

    そうそう、話は変わりますが、少し前に拓哉と会って二人で飲んだんですよ。あいつと会うのは何年ぶりだったかなぁ。

    YEBISU

    企業戦士タカハシ

    大手総合商社。役員まで昇りつめるのは、同期200人の中で2~3名と言われる中、100分の1の椅子を目指す男がいた。その名はタカハシ。

    これは『東京人生ゲーム』では拓哉の影に隠れて地味な扱いだった、タカハシの物語。

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