一旦は子会社出向で、会社からは見限られ、出世コースから完璧に外れたのかなと諦め気味でしたが感慨深いです。やっぱり地道に頑張ってみるものですね。人生捨てたものではないです。
内示が出た日は、家族が寝静まった後のリビングで、一人『ヱビス マイスター』を堪能しました。やはりあの味は格別なんですよね。自分が目指す場所へ、ゆっくりだが確実に近付いている……その実感を噛みしめながら、グラスを傾けました。それは至福のひととき。僕はこの時初めて、心から自分のことを褒めたような気がします。
これは予感ですがおそらく、今回の駐在は商社マン人生集大成の仕事になると思ってるんです。僕が目指す”最高峰”、つまり役員の椅子を手に入れられるか、否か。それが、この駐在にかかっています。
僕ももう46歳。地味だった僕もようやくここまで来ました。
100分の1の椅子をかけた、椅子取りゲームに参加していられる時間は限られていますから、何としてでも手に入れるべく虎視眈々と狙いますよ。
今回は前回のコンゴ帰りのような失態はかましません。誰よりも早く出世し、人生の“最高峰”を掴んでみせますよ。
いま、ファーストクラスでデュッセルドルフに向かっています。
ファーストクラスの快適さを知ってしまうと、下のクラスに乗ることに抵抗がでてしまいますよね。
搭乗手続きでは、長い行列を横目に専用ゲートからスムーズに入り、到着後も長い入国審査の行列に並ばなくて済む。
「あ、俺はもうそっち側じゃないんだな」って、自分を取り巻く状況の変化で、自分の立ち位置を確認できますよね。
そうそう、話は変わりますが、少し前に拓哉と会って二人で飲んだんですよ。あいつと会うのは何年ぶりだったかなぁ。