SPECIAL TALK Vol.13

~常に今の自分の能力を超える仕事に挑戦し、チャレンジ精神を持ち続ける~

環境に順応するには、違う点よりも共通点を見つけることが大切

金丸 アマゾン ジャパンには、どのようなきっかけで入社されたのですか?

チャン:1995年にP&Gの日本洗剤部門ファイナンス・マネージャーとして日本に赴任しました。その頃、私はインターネットビジネスに興味を持ちはじめていましたので、知り合いを通じてアマゾン ジャパンの立ち上げメンバーに出会い、インターネットビジネスの可能性と彼らの情熱に感銘を受けました。そうして2000年にファイナンス・ディレクターとして入社し、半年後には社長に就任しました。

金丸:着々とキャリアアップをされていますね。いままでのキャリアでは、アマゾン ジャパンが一番長いということになりますね。

チャン:そういえばそうですね。全然意識していませんでした(笑)。

金丸:会社を変えるということは、文化も風土もまったく異なる場所に行くことです。歴史ある会社から、アマゾンのようなインターネット時代の象徴のような会社に移った際、どのように順応されていかれたのでしょうか?

チャン:もちろん、企業文化や制度など違うところはたくさんありますが、逆に共通する点もたくさんあります。たとえば、P&Gとアマゾン ジャパンは、両社ともエンドユーザーフォーカスの企業です。どちらもコンシューマーの利便性を高めることを常に考えていますし、不可能を可能にするイノベーティブな会社です。違う点を見つけるよりも、共通点や類似性を見つけることができれば、環境に順応するのはそれほど難しいことではありません。

金丸:アマゾン ジャパンは、シアトルにある本社と似たような雰囲気なのですか?

チャン:ほとんど変わらないですね。自由な雰囲気があり、何よりスピードを重視しています。現在、世界13ヵ国に拠点を構えていますが、一貫して「地球上で最も顧客を大切にする企業である」ことをミッションステートメントとして掲げています。

金丸:1995年にアメリカでAmazonが生まれ、情報のプラットフォームを構築しました。最初は大きなリスクを負い、長年赤字も続きましたが、それでもエンドユーザーの満足を求め続け、次第に世の中に欠かせない存在になりました。また2011年からは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)というクラウドコンピューティングサービスも提供し、多くの企業がアマゾンのITインフラ上に自社のシステムを配置しています。すでにECカンパニーの枠を超えて世界最大のITサービスを提供する会社になっていますが、アマゾン ジャパンにおける、ジャスパー社長ならではの“色”というと、どのようなところでしょうか?

チャン:徹底して心がけているのは、フラットな組織であることと、常にスピードを重視してコミュニケーションをすることです。私たちのビジネスには、グローバルカスタマーはほとんどいません。どの国においても、いかにローカライズをしていくかが課題になります。特に日本のマーケットは、アメリカやヨーロッパと性質が異なり、より細かなニーズがあります。Amazonの持っている技術をフルに活用し、素早くカスタマーのニーズに応えていくのが私たちの使命だと考えています。

金丸:日本のアマゾンでは、朝注文した品物がその日の夜に届くこともあります。かたやアメリカでは、注文日当日には届きません。物流という観点で見れば、日本の方が進んでいるわけです。

チャン:東京をはじめ、ニューヨークやロンドンなどの大都市では、ますます高速の宅配サービスが求められています。都市に住む人たちにとって、時間が重要であり、時間を節約したいという方が多い。ですから、こうした要望に応えられるよう、今後も宅配の利便性を高めていきたいと思っています。

金丸:私は政府の農業改革にも携わっているのですが、ITを駆使すれば、全国の農家の人たちが作った農作物をダイレクトにエンドユーザーに届けることができるのではないかと考えています。Amazonのビジネスモデルを使えば、朝収穫した野菜をすぐに家庭に届けることができますし、食の趣向を踏まえて「こんな野菜はいかがですか?」と提案することもできます。

チャン:実はアメリカには、生鮮食品を取り扱う「アマゾンフレッシュ」というサービスがあります。シアトルで始まり、いま複数の都市にどんどん広がっています。生鮮食品を扱うには、最適な施設や品ぞろえ、物流システムなど検討すべき課題が多いのですが、非常に良い事業モデルだと思っています。日本の農業の技術は、世界から見てもトップクラスですし、農業分野はまだまだ大きな可能性を秘めています。

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