美女ドライブ Vol.1

美女ドライブ:小悪魔に振り回されるランボルギーニ男。金曜深夜のドライブの結末は…

高級車と美女。

コインの表裏のように互いに無くしては語れない極上のコンビネーションは、いつの時代も我々の心を掴んで離さない。

男であれば、人生で一度は乗ってみたい高級車。妄想と呼ばれてもいい…高級車と美女の二兎を得た東京ライフってどんなもの!?

車中で東京の男たちが織りなす、魅惑の美女たちとの今宵の駆け引き。

「美女ドライブ」、とくとご堪能あれ。


金曜 22:00 まゆから1週間ぶりのLINE


華金の夜だというのに、これだと帰りは24時を回りそうだ……

「ごめんな、今度埋め合わせするから」

秀樹は軽く溜息をつきながら電話を切った。予期しなかった仕事のトラブルのせいで、サトミとのデートの予定をキャンセルせざるを得なくなってしまったのだ。

数年前、父親からパッケージ印刷会社を受け継いだ秀樹は、この日仕事のトラブル対応でオフィスに戻って作業をしていた。

ふと目をやったスマホに浮かんだ「まゆ」からのLINEメッセージに、朦朧としてきた意識がはっと冷める。まゆとは車好きの社長友達に誘われた食事会で、2か月ほど前に知り合った。彼女に送った3回目のデートの誘いをLINEで送ってから、既に1週間が経過していた。

彼女には、もう嫌われているのかと思っていた……
直ぐに既読をつけるべきか一瞬迷いつつ、秀樹は「今どこなの?」とすかさず返信。

「今は代官山。友達の具合が良くないみたいで、この後は西麻布に移動するんだけど、今日は早めに帰りたいみたい」

だからどうしたいというオチはなく、まゆのグレーな会話はこちらの心を掻き乱す。彼女が自然とそうしてしまうのか、意図的なのかはわからないが、後者であれば相当な小悪魔だ。

「秀樹くん、23時半頃西麻布交差点まで迎えに来てくれると嬉しいな。久しぶりに会いたい♡」

これで会う機会を逃せば次はないかもしれない。土曜日は少し仕事をしないといけないなと後ろ髪引かれながらも、秀樹は疲れ切った身体に鞭打って地下駐車場へ向かった。

停めていたガヤルド・スパイダーに乗り込みエンジン音を吹かすと、コンクリート造りの地下駐車場全体に重低音とバイブが響き渡る。いつ聞いても、俺はこの為に頑張ってるんだなと思わずにいられない―


西麻布交差点に着くと、まゆが車を見つけやすいようにと『西麻布 MUSE』の近くでハザードランプをつけて彼女を待つ。


しかし、既読はつくのに一向に返信がない。



―まさか、帰ったのか……?

そんな疑念を持ちつつ、ふとフロントミラーに目をやると、そこには車の方へ近づいてくるまゆの姿が映っていた。


「やっほ~♪ 秀樹くん、久しぶりだね♡」


助手席の窓越しに顔をひょこっと出し、車の中へまゆが入ってくると、ほのかに甘いジミーチュウの香りが車内に舞いこんできた。最後に会った時からずっと既読無視をしていたのはまゆのほうなのに、こっちの気持ちなんてお構いなしだ…

それでも、陶器のようなつるっと艶やかな肌に吸い寄せられそうになり、2回目のデートで感じていた、もっと彼女と距離を縮めたいという衝動に再び駆られるのだった。

「秀樹君、こんな車に乗ってたなんて知らなかった…でも、凄すぎて乗る時ちょっと恥ずかしいね」

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