往年の名士たちにも愛された駿河湾屈指の絶景と美食が人気の老舗旅館そのもてなしの真髄を享受する『松濤館』
静岡県/伊豆三津浜
明治44年(1911)創業の名門旅館である。この宿を愛した名士には、昭和天皇の弟君・高松宮殿下をはじめ、吉田茂元首相、作家の武者小路実篤や志賀直哉の名も並ぶ。
伊豆長岡から車で15分、海にせり出すように建つ館は、古くから駿河湾屈指の富士の眺望で知られる。とりわけカラリと晴れた冬の日、海の彼方に望む雪を冠した富士は秀麗そのもの。
日本画家の梅原龍三郎も、ここを定宿に「三津浜の富士」を描いた。夏から秋にかけても、宿泊する日が快晴ならば、ロビーや客室から、あるいは大浴場の露天温泉に浸かりながら、海の彼方に浮かぶ夏富士の清々しい姿に出会える。
そして、現代の『松濤館』は、知る人ぞ知るグルメの宿でもある。厨房を率いるのは、「伊豆にこの人あり」と言われる現代日本料理の雄、今吉良一総料理長。季節の食材の魅力を自由自在に引き出して、メリハリの利いた献立を作り上げていく。
ひと皿、ひと皿に手仕事の技が冴え、美味であるのはもちろん、どれも繊細で実に美しい。小さなサプライズや、遊び心も散りばめられ、食事が進むほどに、自然と笑顔が広がっていく。
ラウンジの窓辺の席では、到着したばかりの若いカップルに、女将がにこやかにウェルカムドリンクをすすめていた。家族何代にもわたリ訪れる、リピーターが多いのも特徴だ。女将を筆頭とするスタッフの、温かな接客と心遣いが、同館を「また来たい宿」へと育ててきたのだろう。
伊豆・三津シーパラダイス、あわしまマリンパーク、内浦湾クルーズ、ユネスコ世界文化遺産の韮山反射炉など、周辺には観光スポットが多く、夏休みが楽しみな海辺の宿でもある。
【DATA】
住所:静岡県沼津市内浦三津7
TEL:055-943-2311
チェックイン:14:00/チェックアウト:11:00
部屋数:24室
1泊2食 1室2名利用時1名料金:2万3,000円~(消費税・サービス料込、入湯税別)
カード:使用可
HP:http://www.shoutoukan.com
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