バルージョ麗子 Vol.4

バルージョ麗子:再会からの急展開で翌朝を共に迎えるが...麗子に彼氏ができない理由

女の幸せはキャリアか?それとも結婚か?

婚活に燃える同僚、キャリアに突っ走る先輩の間でどちらも選びきれない32歳の麗子。彼氏ナシ。

そんな彼女を癒すのは、その麗しき名前に似合わない?賑やかなバルでの心地よいひと時。「お酒を飲んでいる時間がいちばん楽しい!」と、現実逃避のごとく、今宵も一人、素敵なバルを探して東京を彷徨う。

バルで出会ったイケメン・祐二と偶然の再会。お互いバル好きと知り話が弾み、ワイン3本を空けたまではよかったが、翌朝、目覚めたのは彼の部屋だった……。


ひどい二日酔いで目覚めたら、隣には祐二が


「!!」

嘘でしょ……。麗子は絶句した。隣で祐二が眠っている。ここは祐二の部屋のようだ。自分がなぜここにいるのか全くわからない。飲み過ぎて記憶が飛ぶことはあっても、ここまで何一つ覚えていないことは初めてかもしれない。麗子は必死に昨夜の記憶をたぐりよせた。

昨日は行きつけのバル『grigio』で祐二とばったり再会した。お互いバル好きのご近所さんということを知り、話が弾んでワインを一緒に開けた。2本目までは良かったが、3本目のワインが半分開いたあたりで、頭がグルグル回り始めて……。


そこでぷっつり記憶が途切れている。テレビのスイッチを消すように、見事にぷっつりと。

やってしまった……。

麗子は飲み過ぎて、さして知らない人と朝を迎えたことが何度かある。つい最近もお気に入りのバルの常連とそうなってしまい、深く反省したばかりだった。

それにしても、祐二とこうなるのは想定外すぎる。昨夜、祐二を「オトコ」として全く意識していなかったし(顔が美しすぎて男としてのリアリティーがないのかもしれない)、彼からも同じように「オンナ」として接されている感じは全くなかった。

なのになぜ……。頭の中を様々な言い訳と自責の念がかけめぐる。


「おはよう」

目が覚めた祐二は、麗子の慌てぶりに反した落ちついた様子で床に散らばった服を着ると、リビングでコーヒー豆をひきはじめた。ほどなくして、お湯が沸いた音と、香ばしい匂いが部屋中に広がる。

麗子は「翌朝」のこの雰囲気が苦手だった。明らかに自分の居場所ではない場所にいる感覚。

夜はお酒の力もありバカになりきれるが、爽やかな朝の空気の中では何を話せばいいのかわからなくなる。麗子は借りてきた猫のように、部屋の隅で小さくなるしかなかった。


「はい、コーヒー」

そう言って祐二が差し出したコーヒーはミルクが丁寧にフォームにされたカプチーノだった。見た目の完成度も高いそのカプチーノは、コーヒーショップにも負けないくらいおいしかった。

「朝からインスタントだったら、その日一日インスタントな選択ばっかりしちゃいそうじゃん」

Fire-Kingのマグカップでカプチーノをすする祐二は、昨夜バルで話している時と同じように淡々と独自の理論を展開する。

一度朝を迎えたことで、妙に馴れ馴れしくなる人がいるが、祐二は昨夜と何ら変わらない。というか、もともと馴れ馴れしいから、変化がないだけなのかもしれない。

(変な人)

麗子はそう思うと同時に、この人には妙な気を使わなくていいようだ、とホッとした。

【バルージョ麗子】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ