タクシー代の秘密 Vol.2

タクシー代の秘密:2006年のライブドアショックとタクシー代の相関関係


今宵もまた東京の至るところで、出会いを求める男女が戦を繰り広げている。

楽しい時間のあとに男性が取る行動としてスマートと讃えられる”タクシー”術。

お金を渡すのか、一緒に送っていくのか、それとも……?

学生時代から30歳に至るまで、通算2,500回もの「お食事会」に参加した元“プロ女子大生”の優子が、タクシー代の支払い事情、いわば「タクシー代の秘密」に関する、歴史的変遷を考察する。

前回は2000年にタクシー代だけで生活していたプロ女子大生を紹介したが、今回はライブドア事件後、2006年以降の移り変わりを描く。

女子大生ブームとITバブルの恩恵を受けるプロ女子大生たち


1990年代後半、「アムラー」「ヤマンバ」「ルーズソックス」などの言葉に象徴されるように、当時の女子高生がムーブメントを生み出していたとすれば、2000年代初期は間違いなく、女子大生が主役だったといえる。

女性ファッション誌「CanCam」や「JJ bis」などの誌面で活躍する女子大生が登場したり、未来のアナウンサーの登竜門”セントフォース”に所属してお天気お姉さんとして、メディアに出演する女子大生レポーターの姿も増えていた。”〇〇大学”の女子大生というだけで、チヤホヤされたり、お小遣い稼ぎができたり、とにかくブイブイ言わせていた。

表では清楚や清純を装う彼女達も、裏ではITバブルの恩恵をちゃっかり受けていたのだ。

平日のタクシー代にとどまらず、週末はいわゆる“ヒルズ族”の邸宅で開催されるホームパーティーに招かれた。銀座の寿司職人や、麻布のイタリアンのシェフが出張サービスに来ていたり、何万円もするヴィンテージワインが振る舞われる。そこには話題のベンチャー社長や、テレビで見たことのある芸能人の姿も。

あるときは、自家用クルーザーで熱海まで花火観賞。またあるときは、プライベートジェットに乗せられてアメリカやヨーロッパ旅行を謳歌した仲間もいる。

ハタチそこらにして、これまでの人生では想像だにしない世界をたくさん見せられた。時間を自由に使える女子大生だからこそ、柔軟に動けたし、ベンチャー社長にとっても、都合の良い遊び相手として重宝されていたのだろう。

そんな時代がいつまでも続くと錯覚していた。

衝撃の事件!港区が凍り付いた瞬間だった


2006年1月、事件は起きた。

テレビをなにげなく見ていたら、見覚えのある顔が逮捕……というニュースが流れる。これほど身近に思えた人が逮捕されるという経験はもちろん人生で初めてだった。

当時の女子大生にはなぜ突然ホリエモンらが逮捕されたのか、そもそもライブドア事件とは何か、わかるはずもない。おそらく一般の視聴者の中でも今だに理解している人は少ないのでは?ただ、メディアに植え付けられた負のイメージだけが拡散していったように思える。

今だから言えるが、事件直後にはなぜか週刊誌の記者から、女子大生宛てに電話がかかってきた。いったいどこから情報を得て、番号を入手したのか。頻繁にお食事会に出没していた彼らの悪事を暴きたいという目論見があったのか。何か悪いことをしたわけでもないのに、急に怖くなった。

この当時、私は就職活動真っ最中。メディアで騒がれているようなベンチャー社長との交流が、悪影響を及ぼしては困ると思い、派手な夜遊びは控えようと心に誓っていた。

ライブドアショックを機に、プロ女子大生の動きも大人しくなると同時に、港区をバブらせていたベンチャー企業や外資証券マン達も自粛ムードに変わっていた。お食事会や飲み会の頻度も減り、新しい出会いもなくなり、稼げる手段も激減。

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