2016.08.08
恋愛低体温女子 written by 内埜さくら Vol.1「コミュニケーション能力に長けた恋愛上手のほうが恋愛下手より仕事ができる可能性が高い」
こんな説は大嘘だ。恋愛下手だって仕事ができる人間はいる。
念願だったアパレルのプレスになった神崎真理子(29)は、自ら人を好きになった経験が乏しい、自他共に認める“恋愛低体温女子”。
恋愛上手が勝ち組だとは思わない彼女は、このまま人生のコマを進めて“幸せ”になれるのだろうか?現代の女性が持つ悩みを真理子を通じて体感してほしい。
2~3年前に同級生達の結婚ラッシュを目の当たりにしてもまったく焦りを覚えず、29歳になったいまも独身を謳歌している神崎真理子は、この説を全力で否定する生き方をしている。
「本当にマリコは恋愛に興味ないよね。黒目が大きいぱっちり二重の美人でスタイルもいいのにもったいない」
何が何でも30歳までに結婚したい!と婚活に励む女友達から言われたことがあるが、正確には恋愛に興味がないわけではない。人生のプライオリティが仕事、友達……大きく下回って次が恋愛の順というだけなのだ。
恋人がいなくても充分愉しい生活が送れているのに、わざわざ血眼になって恋人探しをする気は起こらない、というのが本音だ。
子供がほしいという強い欲求がいまだにないことも相まって、真理子には結婚願望もない。もし結婚することになってもお互いに自立したフランス婚なんていいかも、と考えている。
そんな真理子を周囲は“恋愛低体温”と呼ぶ。この価値観を持つに至ったのは、両親の影響が多分に関与していた。
大手総合電機メーカーで出世街道をひた走ってきた父と、自宅でピアノ教室を運営していた母は年々、互いに譲り合わない性格が肥大し真理子が小学生になる頃には毎晩、痴話喧嘩を繰り返していた。
「もうお父さんとはやっていけないかもしれない……」
思春期だった昔、母に愚痴をこぼされてこう答えたものだ。
「そんなに嫌なら離婚すればいいじゃない」
すると母は決まって苦笑いしていた。
「勢いで簡単に離婚なんてできないのよ」
簡単に離婚できない理由は、短大を卒業し就職してから解った。趣味レベルでピアノの先生をしていた母は、父の経済的な庇護がなければ生活できないため、離婚には踏みきれなかったのだ。
――他人に運命を委ねる人生なんて、わたしは選ばない。
母を反面教師に真理子は、短大時代にかじった読者モデルで培ったつてをたどり、大好きなブランド『M classe』を有するいまのアパレル会社に就職した。ただ、人気読者モデルから一気にブランドのプレスへという勝ち組のレールには乗れずショップ店員からのスタートだったため、売上を伸ばすためにしゃにむに働いた。
その働きに本社の社員が目を留め「店長にならないか」と打診してきたとき、揺るぎない決意を初めて口にした。
「わたしは店長ではなく、プレスになるために頑張ってきました。プレスの面接を受けさせてください。それが無理なら転職します」
その希望が叶い、無事に面接をクリアして念願のプレス職に就くことができた。
大半のアパレルメーカーのプレスルームは表参道や南青山からほど近い千駄ヶ谷に集中していて、プレスの仕事は終電を超える日もあるため東京に在住していなければ成立しない仕事だ。それまで川崎市にある実家から横浜の店舗に通勤していた真理子は、東京で働く自分がちょっぴり誇らしい。
プレスになったのを機に渋谷から徒歩10分の賃貸マンションに引っ越したことも、心を浮き立たせる。
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