幸せな離婚 written by 内埜さくら Vol.14

幸せな離婚 最終回:最終結論を下した妻は本当に幸せになれるのか……!?

前回までのあらすじ

フリーの映画プロデューサーをしている真壁恭子(35)は夫との離婚を思案していた。

フリーライターの夫、竜也(41)の仕事が激減して生活費を入れなくなった上に、夫が家事を一切行わず恭子に甘えっぱなしだからである。だが黒木と始めた仕事によって竜也は軌道に乗り、借金と生活費を渡すようになる。

ところが竜也に篠崎美香との浮気疑惑が浮上。恭子自身も浮気はしていないが、俳優の清水に抱きしめられるハプニングが。友人の夏子と黒木の不倫相手となっていた真実とも、しばらく連絡が取れない日が続く。

そして、病院に駆けつけた竜也の不倫相手と恭子は直接対決する事態に陥る。だが、竜也が隠している事実は不倫だけに留まらず、遂に恭子は人生の結論を下す!!

第12話:病院で“あの女”との直接対決! そして妻の知らない新たな事実が明るみに


竜也の兄、一樹から電話をもらった翌日。恭子は仕事へ行く竜也を見送った後、置き手紙をして自宅を出た。

“2日ほど実家に帰ります。心配しないで 恭子”

夜、家に戻った竜也はなぜLINEや電話で知らせないのかといぶかしがるかもしれないが、「2日」と期限が記してあればさほど動揺しないのではないかというのが恭子の思惑だった。

本当はもっと考える猶予がほしい。まだ竜也に告げていないが、一樹から打ち明けられた話をどう処理すべきか、昨日から頭が混乱して全くといっていいほど整理できない。

だが、竜也の顔をこれ以上見ていたら、感情が昂ぶり罵ってしまうことだけは解っていたので家を出たが、1日中ひとりきりで考え事をする場所は恭子にはなかった。事務所にいれば仕事をして現実逃避してしまうだろうし、ビジネスホテルに泊まれば、もし竜也が実家に電話をしたら何かがあったと悟られてしまう。

そうなれば、自分のなかで結論を導き出せていないのに、腰を据えて話し合うことになることが目に見えていた。

それに今は、東京の人混みや喧騒から逃れたかった。竜也の仕事量が激減して生活費を入れなくなり、地道に貯蓄してきたなかから200万円を貸したこと。そして竜也の不倫に、自分の仕事が最近減りつつあること。東京での、そして夫婦としての生活に恭子は疲れてしまったのだ。

だからといって実家に戻れば母親の佳代は「仕事がないの?」と過剰に心配するだろう。「子供がいないから気ままでいいわね」などと嫌味を言われるかもしれない。

しかし恭子は、今は故郷の空気がどうしても吸いたかった。昔の環境に全身を浸せば、伸びやかだったあの頃の気持ちに少しだけでも戻れるような気がした。

現状を母には知らせないと決めて事前に電話もせず実家に帰ると、自宅のリビングでテレビを観ていた佳代が「あら?」という顔をした。

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