京都クエスト Vol.8

京都クエスト:プライドの高さが災いする、こじらせ男のあやし方

結婚を意識していた彼女が京都へと去っていった。勝ち組のはずだった35歳・晃二を襲った突然の悲劇。最近では、遊び仲間たちも何故か京都の引力に惹かれている。

その謎を解くべく降り立った古の都。朝粥や川床に芸妓さん、東京では遭遇することのない新体験が次々と彼を魅了していく。

極めつけは江戸時代に迷い込んだような粋な着物フェス『太秦江戸酒場』、そんな非日常の中で恋に落ちた相手はシューズデザイナーのミサ。果たして夢が醒めても恋は続くのか?

京都クエストvol7:モテる女は知っている、男を落とす恋の店選び


はじまりは、つりばし効果だっていいじゃない


“思い過ごしも恋、それでもいい、今のうち〜♪”、未だ現役なサザンの名曲。最近つくづく恋はしたもの勝ちだと思う。

30歳を超えて訪れた急激な変化は、体力の衰えでもなく、結婚願望でもなく、めったに恋に落ちなくなるという体質の変化だった。

20代の頃は、それこそ一夜限りの相手とですら恋する気分になれていた。それなのに、いつしかそれはコンプリートする達成感へとすり替わっていて、本気で恋するという感覚が遠くなったと感じるのは俺だけなんだろうか?


あまりに急展開な恋のはじまりは、長く関係が続かない。しかも、それがフェスのような非日常で“つりばし効果”強めだとなおさら。

ミサとのはじまりが、そんなケースの典型に聞こえたのだろう。東京の友人らの予想は、概ね短命政権というものだった。

ただ結論から言うと、ミサとは1年以上も遠距離恋愛を楽しんでいる。元々、不動産投資でシンガポールと日本が半々の生活だったので、距離感のある恋愛環境はいつものことだ。ミサに会ったこともない東京の友人らの予想なんてものは、単なる暇つぶしの会話のネタだ。

どんなはじまり方であろうと、続くときは続く。なにもせずに待ってるだけでは、何もはじまらない。一歩踏み出すだけで、そこは新たなる可能性に満ちている。


それにしても、恋の相手が京都というだけで、こんなにも新鮮な気分になるというのは予想外だった。

東京は、ある意味、シンガポールや香港、バンコクと似ていて、日本の首都であると同時にアジアの巨大都市のひとつ。どこか同じリズム感があって、たまに自分がどの国に居るのかわからなくなる。

でも、京都という町は、四季が視覚からも味覚からもダイレクトに響いてくるので、日本人のDNAが知らず知らずにざわめくのだ。

そんな、京都には夏が訪れていた。

順調に関係を育む二人の前に現れたのは、あの男だった。

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