
男は還暦から:なぜ、今、60歳以降がモテるのか…完全に説明する
アンチエイジング全盛の昨今です。
小じわを見つけてはため息をつき、10代のころに比べて身体のコントロールが効かないとわが身を託ち(かこち)ては眉間にしわを増やし、朝起きた時から既に疲れているのはいつの頃からか……。
三島由紀夫が「をわりの美学」として考察していたのが、疾風怒涛のごとくわが身に迫ります。シュトルム・ウント・ドラング。文字から漲る圧力が凄い。
そもそも逆に、こうなったらアンチエイジング自体が無粋だと提言してみるのはいかがでしょうか。
この完全なる不平等社会の中で、老いも若きも、ビリオネアも低所得者層も、そしてカミーラ・ベルと私、そんなすべての人々を平等にしてくれるのは、時間、いわば刻々と呼吸し続けることによる身体の酸化しかないわけです。
息を吸うことで酸化し始め、死に至るのに酸素を取り込まずにはいられない、そんな不合理かつ平等の行為を休むことなく続けさせ、生き続けさせ、死に向かい続けさせるものに対して、“アンチ”なんて言うの禁止。今日から禁止。
アンチ巨人は事象として存在しますが、アンチエイジングは「あ、ごめんなさい、今日は弟が泊まりに来ているの……」という言葉ぐらい未来永劫、存在しない、し得ない事象です。ちなみに弟はいます。
どうせならプロエイジング。この場合の“プロ”は、“アンチ”(反対)の対義語の“プロ”(賛成)です。
アンチエイジングではなく、うまくエイジングする(年を経る)というプロエイジングを提唱したい、それが今回の新連載【男は還暦から!】なのです。
ちなみにプロエイジングという言葉は、15年前、留学した際に出会い衝撃を受けた言葉ですが、ほら、だって、やっぱりエイジングビーフだってヴィンテージワインだって最高に美味しいじゃない!
ヲイヲイ、突然還暦かよ? とお思いですね?
「メメント(警告)・モリ(死)」(汝は死を覚悟せよ)と言い出さないだけ、マシだと思いますがどうですかダメですかそうですか!!!
では、メメント還暦いってみましょう。
還暦からが、ようやく男
あ、その前に、ちょっと言い忘れたことがあるので、一言、いいですか?
そもそも、私、学生時代にひたすら図書館に籠っていたので、よくなにをしているのかと聞かれていたのですが、ひたすらジェロントフィリアについて調べていたのですね。あ、絶対にググらないでください。過激な言葉が出てきますが、そこはイキらないで。頼むから、イキらないで話を聞いて。
まずジェロントは老年や老熟といった意味で、Gerontology(ジェロントロジー・高齢社会の人間学)から派生した“ネオ・ジェントロジー”は、いま一番フレッシュな学問ですね。
この学問に対し競争的研究資金として、「科学研究費助成事業:通称“科研費”」が下りるようになったのも、必要な思想だと国が認めたと言えるでしょう(ドヤ)。
次にフィリア(philia)ですが、こちらはアリストテレスの語る友愛(または愛)の意味です。分かりやすいので対義語を出すと、フォビア(phobia)。クモ恐怖症(Spider phobia)や高所恐怖症(Acrophobia)といったフォビアが有名ですね。
このフォビアの対極にあるのが、フィリアです。
恐怖症の対極にあるので、簡単にいえば、異常にめっちゃくちゃ好きとでもいいたいのですが、汎用性の高い言葉なので、病的な偏愛として訳され使われることが多いです(実際犯罪者のプロファイリングでも使われます)。
取扱い注意な言葉ですが、そこはしかし敢えて、ジェロントな人々を推しMenとして高らかに主張したいと思います。
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