読者モデルの闇 Vol.1

読者モデルの闇:所属事務所の社長が仕掛ける、“うさぎ・トラップ”に泣かされる

所属してから数ヶ月。社長の距離感が近くなった気がしてきたというまさみ。最初は可愛がってもらえているという優越感もあったが、それはのちに不信感へと変わっていった。きっかけをつくりだしたのが、社長のペットである。

うさぎを口実に、徐々に距離を詰めてくる社長


「社長はうさぎを飼っているんですけど、最近出張が続くみたいで預かってほしいと言われました。そのうさぎとは前にも散歩中に会っていて、顔に似合わず可愛い動物を飼うんだなぁって思っていたんです」

最初は社長の頼みならと引き受けていたが、預ける回数はそこから急激に増えたという。自分を信頼してもらっているという喜びはあったが、家にうさぎを連れて来てほしい、今からまさみの家にうさぎを届けていいかといった連絡が頻繁にかかってくるようになった。事務所に預けてくれれば迎えに行きますよと言っても、それは無理だと言われ二人っきりになるチャンスを図られているようだった。

次第におかしいなと思うこともあったが、自分の勘違いだったことを考えると恥ずかしく、誰かに相談することもできないでいた。そんなある日、一緒に仕事をしていたモデル仲間から驚愕の事実を聞かされる。まさみを口説いていた社長は昔から”読者モデル”キラーで、自分の好みの子がいればすぐ手を出すことで有名。

うさぎはなんと、仕組まれた罠だったのだ。


「25歳以上は女じゃない、が社長の名言」「今のうさぎも元カノのために購入しており、今は別の人を口説くために使われている」「平気で何人もの女の子を股にかける」と悪い噂はひっきりなし。モデルの間でもあの事務所はヤバイと噂になっているらしい。このままだとまさみもそういう子って思われるから、気をつけたほうがいいよ、と忠告をされその日は撮影に集中できなかったという。

「あとで社長の話を教えてくれた子から元カノの写真を見せてもらったんです。彼女も童顔で私と似た系統でした。本人は付き合ってないって否定しているみたいですが、誰も信じてないようで……。わたしもこのままだと同じようになるのかと思うと選択を誤ったなと思います」

22歳読者モデルの権謀術数、侮るなかれ。


このままでは流されてしまうと思ったまさみは、社長から口説かれているということを自ら話してしまおうと思っているそうだ。ただ口説かれている、とだけ言ってしまえば自分の評価が下がってしまう。なので、社長の話題をあえて出し、もしかして付き合ってる?と聞かれるように仕向けている。

実は……と真実を話せば付き合っている噂より、”口説かれて困っている”という話が勝手に広まるだろう。まさみの考えた作戦である。結果、社長の耳に届けば自分に手は出せないと考えた。最悪、事務所はクビになるかもしれないが、それはそれで今の仕事を変えるきっかけにすればいい。22歳という若さにも関わらず、腹の据わったまさみに脅かされる。

読者モデルとして生きていくならこういった大人のトラブルはついて回ってくる。しかし、彼女たちにとって今の仕事は、すがりつくものではないのかもしれない。若いからといって何もできないと考えるのはご用心。我々が思っているより策略家なのだ。

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