「人生には3回モテキがある」という噂。女性が「いつか王子様が」というシンデレラストーリーをそこはかとなく信じているように、世の男たちはこの「モテキ」を、祈りにも似た気持ちで切望しているのだ。
女子たちの方が背が高かった中学時代。好きな女の子とサッカー部1のイケメンエースとのキス場面を目撃してしまった暗黒の高校時代を経て…ついに遅れてやってきた青春。突如として到来したモテキ。
気づけば、僕のLINEメッセージは、3人の女たちで埋め尽くされているのだ。
第1回:モテキ到来!こんなに綺麗なヨガインストラクターと一緒に暮したら…!?
絶賛モテキ謳歌中の赤池直樹。
赤池直樹。
森山未來似の33歳。
公認会計士、年収:900万円。
モテキの主人公に似ていると言われる僕は、けっしてハンサムの類の顔ではないが、ごくごく少数の女性にとっては「とてつもなくタイプ」らしい。今僕は人生初の「モテキ」を謳歌中だ。
遅れてきた青春は33歳という年齢によって大きく圧力がかかる。
そう、僕は次付き合う人とは結婚を真剣に考えているのだ。
ヨガインストラクターの那奈(28歳)とのデートを楽しみつつ、家庭的な面で彼女に若干不安の残る僕は・・・
アテンション・プリーズ!空飛ぶセクシーキャビンアテンダント。
客室乗務員の史織(24歳)と出会ったのは、ちょうど一ヶ月前の同僚が開いてくれた合コンだった。
「客室乗務員」というキラキラオーラを前に、青春時代非モテに甘んじた男ならではのネガティブスパイラルが炸裂して、両手で足りるほどの発言機会しかなかった僕。
その日スポットライトが当たるはずも、女の子からの声がかかることもなく、「スッチーなんてどうせ、ナイフとフォークカチャカチャのフレンチしかいかねぇんだろうさ」とひねくれていた。
しかし、「モテキ」とはすごいもので、全ての事故も不運も失敗も、すべては、ロマンチックへの布石となる。
その週の日曜日夜。ヨガの日曜クラスの那奈の約束を急遽キャンセルされた僕は、一人蒲田の『你好 別館』に餃子を食べに行った。その時、偶然隣にいたのが、合コンで出会った24歳のピチピチ客室乗務員・史織だった。
無心で餃子にかぶりついていた僕に、声をかけてきたのは史織だった。
「この前の飲み会にいた・・・・赤池さん?」