東京☆ビギナーズ Vol.15

東京☆ビギナーズ:自己満足な結婚式と裏腹な、東京の結婚での悩み

前回までのあらすじ

関西出身のインターネット広告営業マンのシンゴ(28)は、社会人6年目で突如、東京転勤に。

過去にライバル代理店の営業マン溝口との接待対決に敗れ、大きく売り上げを奪われてしまったシンゴは、六本木のカラオケにて最終決戦に挑む。結果、機転の利いた選曲と根性で、見事宿敵を打倒したのであった。

前回:因縁のライバルとの接待対決、六本木のカラオケ最終決戦。


東京に来て1年、ようやく仕事で成果が認められ…。


「マネージャー。例の件なのですが…。」

「あぁ、企画書見たよ。大筋問題ないから、少しだけ手を加えといたから、後で確認しておいて。」

そういって部下からの相談を受けているのは、あの『シンゴ』だ。東京に転勤してきて一年、仕事の成果が認められ、マネージャーに昇進していた。マネージャーと言っても、実質は自身で手掛ける案件も並行して持つ、いわゆるプレイング・マネージャーではあるのだが。

―ふぅ…。部下がいると自分の案件のタスクが溜まるな…。―

「シンゴさん、あの例のG社の件、撮影の段取りまとめときましたよ。」

そういって、シンゴの手が回っていない案件のフォローを軽やかにこなすのは、同僚の『理恵』だ。

「ありがとう、理恵…、いや、クリエイティブ・ディレクターさん。」

「やめてくださいよ、その呼び方…。あと、社内では呼び捨ても禁止ですよ!」

理恵も、同じく昇進していた。

そして、二人は今、社内恋愛中だ。

二人とも、相当量の業務をこなしながら、いつそんな時間があるのか社内でも不思議がられているほどのおしどりカップルだ。

「今日、あと2本打ち合わせが終わったら会社を出れそうだから、飲みにいかないか。」

理恵は、小さくコクリとうなづくと、各々の業務にまた戻っていった。

深夜デート、24時でも入店可能なお店で、静かにワインを楽しむ。

PM 11:50新宿西口にて。

仕事を終えた二人は、職場近くの遅くまで空いていることで有名なワインバー『マルゴ ファイブ』にいた。

「ブルゴーニュのピノ・ノワールでも飲もうか。」

そういって、理恵のグラスにスマートに赤ワインを注ぐシンゴを見て、少しはにかみながら笑う理恵がいた。

シンゴは、何が面白いの?という顔をした。

「だって、シンゴさん。すっかり東京の人みたいで。昔のちょっと頼りなかったところが、今では嘘みたい。」

「あぁ、そのことか。まぁ、一年も住んでるとね。さすがにもう、寿司土下座で仕事を取るようなことは、僕としても無いと嬉しいんだけど(笑)」

そういって、静かにグラスを傾け、二人は乾杯をした。

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