東京☆ビギナーズ Vol.14

東京☆ビギナーズ:因縁のライバルとの接待対決、六本木のカラオケ最終決戦。

前回のあらすじ

関西出身のインターネット広告営業マンのシンゴ(28)は、社会人6年目で突如、東京転勤に。優子との久しぶりの再会では、相変わらずのマウンティング癖が抜けない優子からの攻撃を辛うじてかわす。シンゴの心の隙を突く一言で、ステータスよりも身の丈に合った恋愛の大切さに目覚めた優子は、残念ながらシンゴへの好意ではなく、別のキープをしていた男への想いへと目覚める結果となった…。

これは、地方から転勤してきたアラサー社会人の、東京の独特な文化に染まりきった女性たちとの闘いを描いた物語である。

前回:因縁の麻布十番。「大変じゃない?」理論で8割の女は落ちる!?


いざ六本木のカラオケへ。突然の戦への招集。


とある金曜日、22:00。六本木。

シンゴは、G社邦光社長の久しぶりの誘いで、カラオケ「FIORIA aria blu」に来ていた。

以前、彼が多額のプロモーション予算を発注する予定があると聞きつけた際に、たまたま社長が現れる会食へと参加していたことがあった。


うまく懇意になって営業を成功させようと目論むも、溝口なるライバル会社の営業マンがぴったりと社長をマークをしており、おしぼリボルバーなる必殺技で完全にやられてしまったのは苦い思い出だ。

その後、結果として溝口が提案したプロモーションプランが採用され、大きな予算がライバルの代理店に流れてしまった。卑怯だと思う人間もいるだろうが、これが「営業」というものなのだろう...

そんな中、今回の急な誘いは、よくある「合コンで人数合わせに来てほしい」というものだった。

シンゴからすると、久しぶりに見込み顧客との接点が得られるということもあり、いざ六本木!と言わんばかりのフットワークで、すぐさま駆け付けたのであった。

その場にいたのは、プロっぽいOLたちと社長系メンズ。そして...


「やぁ、シンゴ君。久しぶり。急に呼んでごめんね。」

指定されたカラオケルームに部屋に入ると、G社邦光社長が声をかけてくれた。ちょうど1次会から2次会の移動が終わり、集合したところのようだ。

周りを見渡すと、邦光社長の友人と思しき社長系の男性が2人。女の子が5人。みな、モデルか何かをやってそうな、少しだけ玄人感が漂う人たちだ。

そして、残る一人は…

「溝口…。」

おしぼリボルバーの使い手で、ライバル代理店の営業マンだ。ガタイのいい強面なので、とても目立っていた。

― まさかこんなにも早く、奴と対峙する日が来るとは…。―

シンゴは、唾をごくりと飲み込んだ。

この場をいかに盛り上げるのかの戦略を、頭をフル回転させて練っていった。

選曲はどストレートな直球勝負!昭和のコンテンツで花を咲かせる


邦光社長を筆頭に、40代前半から30代後半の社長系チームの盛り上がりが、何よりこの会の重要なポイントとなることは間違いない。

女の子たちも、それなりに夜の会合に慣れた子たちばかりと想定するに、ド直球な昭和曲を入れても問題はないだろう。

「ロンリーチャップリン」や、「愛が生まれた日」といった、定番曲のチョイスを、時には自ら歌い、時には合いの手に回ることで、徐々にフロアは盛り上がって来た。流行りのリーマンマイクもびっくりの華麗な仕切りだ。

女の子たちも、予想通りこなれた対応でその場を盛り上げていった。「R.Y.U.S.E.I」のような今時の勢いソングを挟み込むことも忘れない。

一方、溝口はというと、歌は歌わず淡々とお酒の手配や電モクの操作に勤しんでいた。その動きにはある種の不気味さが伺える。嵐の前の静けさのようだった。

「私、次この曲入れたいー!」

そういいだしたのは、合コン相手の女の子でも、一番夜の会に慣れていそうな風貌のOL「友里恵」だ。なんと、入れた歌は、早口ことばを間違えると、一気飲みをしないといけないという、「ドリフの早口言葉」だった。

稀にいるプロ系のOLは、たまに早く飲み会を終えたいがために、年上の上司をつぶしにかかることがあるのだが、その最たる選曲がこれである。

―こいつ、年上の扱いに慣れとるで…。―

そうシンゴが心の中で思った矢先に、大酒飲みで有名な邦光社長が食いついた。

「これはもう、テキーラしかないでしょうね。」

そういうと、メニューにはないテキーラを至急追加注文し、テーブルにはずらっと一列にギラギラとしたショットグラスが並んだ。

― いよいよ、戦いが始まる…。―

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