東京札幌物語 Vol.6

東京札幌物語:上京5年目希27歳の春。東京に「染まる」ことは悪か?

「染まる」ことは悪なのか?


報告が遅れましたが、二階堂くんとは別れました。正確に言うとフラれました。

彼は、別れ際、こう言いました。

「お前の染まらないところが好きだったんだよ。」と。

それを言われて、ふと、木綿のハンカチーフの、歌詞がフラッシュバックしました。東京に旅立つ恋人に向かって、故郷の女はこう言います。

いいえ、あなた
私は 欲しいものはないのよ
ただ、都会の絵の具に
染まらないで帰って
染まらないで帰って


調布出身の二階堂くんに言われるとは思ってもみませんでしたが。

彼は田舎娘や、自分より物を知らない年下の女の子に、何かを教えてあげて優越感を感じるのが好きなんでしょうね。私が『81』とか、『ユーゴ デノワイエ』に、行ってみたい!ってリクエストすると彼、イヤな顔をしていました。


それにしても「染まる」って、いけないことなんでしょうか?

話題のレストランを知りたいと思うことや、海外から上陸したホテルに泊まってみたいと思うことは、そんなにいけないことでなんでしょうか?

東京には、湧き出る好奇心の赴くままに行動しても、尽きないほどの情報も場所もあるんです。

自分の小さな世界で満足することは、多くを求めないことは、「清貧」と褒められることなのかもしれないけど、私には怠惰な井の中の蛙にしか見えません。住み慣れたぬるい世界にどっぷり浸ることを是とする人には、「もっと」を求める女の心は意地汚く映るのかもしれません。

二階堂くんは、女性を「東京の女」と「田舎の女」と分けていましたが、違います。どこに住んでも「足るを知れる女」と「もっとを求める女」に分かれるのだと思います。

もっとを求める事を「染まった」といって指を指されたり、それを理由に別れを切り出されるのであれば、私は、喜んで受け入れたいと思います。


「最初のオトコはたたき台」って言葉は、林真理子さんの書籍のタイトルですが、二階堂くんが、東京での私のたたき台になったのでしょうね。

1年と半年。彼には感謝しています。私の東京での初めての彼氏ですから。

彼と別れたのは、女として成長していく上では不可避なことだったのだと思うようになりました。周りの女の子たちも、眞希子を含む同期の女の子も皆ぐんぐんと猛スピードで成長していくのですから・・・上京したての25歳の私のままではいられないんです。


え?例の眼科の彼ですか?

麻布出身の兵藤さんとは、デートを重ねていますが・・・まだ交際には至っていません。

もしかしたら来週あたり何か進捗があるかもしれませんので、そうしたら、真っ先にお伝えしますね(笑)






上京5年目を迎え。ぐんぐんと成長する希は、故郷に対する疎みが芽生えはじめたもよう。好奇心が抑えきれず恋人二階堂とは別れた希は、次の彼氏候補の麻布出身の眼科医とは、どうなっていくのだろうか?
次週2月28日(日)更新予定。


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