
女優とディナー:CanCamモデルを確実に口説けるディナーをご紹介!(1話読み切り)
しかし、このとき窓ガラスに映る幸せそうな自分を見て、私はこう思いました。
こんなディナー記事にして面白いか?
――私がこれまでに好評を得たエッセイやブログは、その大半が下ネタ・自虐ネタによるものでした(事務所で一人Hをしていたところをアシスタントに見られた、など)。
そんな私がCanCamモデルと高級ディナーを楽しむ姿なんて誰が望んでいましょうか。読者の皆様が望んでいるのは、たとえば――ストレスのあまり悪化した痔が白いズボンを日の丸のように赤く染め上げ、それを堀田茜に見られた私は「永遠のゼロ!」と叫びながら59階の窓を突き破って飛び降りる、的なことなはずなんです。
(俺は一体、どうすればいいんだ――)
こうして、再び私は頭を抱えることになりました。
しかし、そのとき頭の中でこんな声が聞こえたのです。
「読者なんて無視すればいいのよ」
どこか懐かしさのある声は続きました。
「仁成は、読者の声なんて聞かなかった。だからこそ、彼は作家だった」
「き、君は――」
そのとき私の目の前には、中山美穂が――ディスクシステムのドット絵柄の中山美穂が現れていたのです。
「読者の目なんて気にしちゃダメ。そんなことより、独身になった私にもう一度見せて。あのときのあなたのトキメキを――」
その瞬間、私は思いました。読者を失ってもいい。「水野はクソつまらなくなった」とバカにされてもいい。俺は、俺は……13歳のあの日から、中山美穂みたいな女と付き合うために死ぬ気で頑張ってきたんじゃぁ!
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