東京DINKS Vol.2

東京DINKS:隣の芝は本当に青いか?ホームパーティに見るそれぞれの価値観

前回までのあらすじ

結婚後、子どもを持たない生活を選んだ太一と愛子。結婚前と同様に時間とお金を自由に使い、お互いを尊重し干渉しない暮らしに満足している2人。結婚3年を過ぎても仲の良い夫婦関係を保っているが、太一には愛子とは別の「彼女」の影が見える…。

東京DINKS第1話:結婚生活とシングルライフ。両方のイイとこ取りをする男女

<本日の登場人物>
・田中夫妻(家主):世帯年収1,800万円
夫:太一(36歳)丸の内不動産会社勤務で年収1,100万円
妻:愛子(34歳)渋谷の外資系流通企業勤務で年収700万円
住まい:学芸大学の賃貸で家賃21万円

・神尾夫妻(通称ナチュラル夫妻):世帯年収1,100万円
夫:直樹(31歳)新宿の大手通信会社勤務で年収550万円
妻:明日香(32)歳夫と同じ勤務先で年収550万円
住まい:駒沢に7,000万円の3LDK購入

・二階堂夫妻(通称アッパー夫妻):世帯年収3,000万円
夫:誠(42歳)パティシエ経営で年収2,200万円
妻:恵(35歳)表参道PR会社勤務で年収800万円
住まい:広尾ビンテージマンションの賃貸で家賃42万円

「今日はお招きいただきありがとう」

クリスマスを控えた日曜日、愛子と太一の家に2組の夫婦が遊びに来た。

先に来たのは駒沢に住む神尾夫妻。夫の直樹は31歳、妻の明日香は32歳。2人とも新宿の大手通信会社に勤務し、収入はほぼ同じで世帯年収1,100万円。社内恋愛を経て結婚し、6年目になる。

2人は1年前、駒沢に7,000万円で3LDKのマンションを購入した。頭金は両親からの援助も含めて2,500万円、30年で組んだローンは4,500万円。毎月約14万円をローンの返済に充てている。

マンションを買ってからは駒沢公園のジョギングが夫婦共通の趣味となった。2人とも派手ではないが「上質でナチュラルな暮らし」にこだわり、オーガニック食材やリネン素材の服などを好んでいる。

遅れてきたのは広尾の家賃42万円のビンテージマンションに住む二階堂夫妻。夫の誠は都内に3店舗を持つ人気パティシエの42歳、妻の恵は表参道のPR会社に勤める35歳。結婚2年目ながら喧嘩の多い夫婦のようで、愛子はそのことで恵から相談されることが多い。

誠の年収は2,200万円、恵は800万円で家計は恵が管理している。持ち物、肌や髪の手入れ状態、洋服の素材感から、いかにも「アッパークラス」という雰囲気を醸し出す2人だ。

明日香と恵は愛子と同じ聖心女子大学の先輩と後輩で、学生の頃からの仲。2組とも愛子たちと同じ共働き、子どもなしのDINKSだ。夫同士も仲良くなってくれたお陰で、最近は半年に1度のペースで夫婦3組のホームパーティを開き、互いを家に招き合っている。


愛子と太一は結婚した時に、友人たちを招いてホームパーティを開けるよう大きなダイニングテーブルをアクタスで購入していた。普段は2人掛けのベンチと2脚の椅子を置いているが、今日のような来客時は他の部屋で使っている椅子を追加すれば6人でも十分に使えるサイズのテーブルだ。

テーブルには愛子が準備した生マシュルームのサラダ、ゆでキャベツとサラミ焼きエリンギの生ハム巻き、エビとタコのアヒージョ、近所のパン屋『M-SIZE』で買ってきた天然酵母のバゲットの他、両夫妻が手土産として持ってきたチーズ、オリーブ、セミドライトマトのマリネなどが並んでいる。

下準備を済ませたパエリアのフライパンは、みんなの食事のペースを見て火にかける段取りだ。

「そういえばこの前、誠が1,800円もする本を買ってきたのよ。」

乾杯を済ませ、シャンパンからピノノワールに移った頃、アッパー夫妻の恵が切り出した。

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