2015.12.22
『神楽坂ヴェーリ』
郷土料理をベースにしたイタリアンとワインで多くの食通を魅了した『エノテカ ラウラ』が、増床のため、2013年店名を改めリニューアルを果たしたのが『神楽坂 ヴェーリ』だ。
場所は同じ神楽坂だが、こちらの店舗は1階に厨房、2階にシックなダイニング、3階にワイン庫(将来的には個室にする予定だとか)を備えた瀟洒な一軒家。
「方向性はエノテカ ラウラ時代と変わらないが、厨房が倍以上の広さになったので、料理をさらにブラッシュアップさせ、質のよい仕事を追求したい」とオーナー。プリフィックスとおまかせの2種のコースを用意し、メインでは『中勢以』の熟成肉も提供する。
「中勢以さんの熟成肉は新宿のブリッコラで働いていたときから扱わせてもらっていた。部位によって香りや味の違いが楽しめるので、なかなかほかのお肉に目がいかない」。ヨーロッパから帰国し、部位ごとに食べさせる熟成肉があることを知り、心底驚いたという。
料理長曰く「高温で一気に焼かず、肉の旨みをとじこめるように調理するのがポイント」。旨みを湛えた熟成肉と選び抜かれたワインのマリアージュを楽しみたい。
『ARMONICO』(アルモニコ)
最近、フレンチやイタリアンにも、魚介を店のメイン食材として扱うシェフが増えている。『アルモニコ』の佐々木シェフは、生まれ故郷である大分・豊後水道から直送される新鮮な魚介を多く使うが「こう見えて、じつは肉料理も得意なんです(笑)」と、自信をのぞかせる。
高校を卒業後、飲食店のサービススタッフを経て料理の道を志し、24歳でイタリアへ。モデナの三ツ星『オステリア フランチェスカーナ』などで修業を積んだ。「店では仔豚や羊はもちろん、和牛なんかも扱っていた」と話す。
現在、もっぱら気に入っているのが赤身肉。なかでもコストパフォーマンスの高いクリは、コースに登場する回数が圧倒的に多い。「サシが入った霜降り肉をコースの終盤に食べるとなると、脂が重たく感じるはず」と言う。
肉を柔らかくするため、クリの場合は1週間寝かせてから料理に用いる。火入れをする際、芯温が52 ~ 53℃になるように調整しながら2時間かけてじっくり焼き上げる。断面の色の美しさは、そのまま肉の美味しさを物語っているようだ。しっとりなめらかな舌触りと赤身ならではの充実した旨み。食材の持ち味を生かす心意気が、魚にも肉にもあらわれている。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
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