SPECIAL TALK Vol.1

~やりたいことがあれば、リスクをとって挑む。チャレンジすることで成長できる~

金丸:留学からの帰国後も大変だったとお聞きしました。

新浪:社内で、僕を採ってくれる部署がなかったんです。面倒なやつがいるぞ、と。だから帰る先がなかった。それで、留学の面接官のひとりだった人が、誰も採らないならオレのところへ来い、と言ってくださって。それが、食料本部の人だったんです。国内スーパーにどうやって冷凍食品を売るか、という仕事。でも、僕はこの仕事はやりたいと思わなかった。実はこのとき、コンサルティング会社からオファーをもらっていて。

金丸:そんなことがあったのですね?

新浪:それで、三菱商事の先輩にあたる人のところに相談に行ったんです。そうしたら、頭のいいヤツは世の中には、いくらでもいる。三菱商事の良さは、やりたいと思ったことは、必死になればやらせてくれることだ。
世の中の仕事人には、ドゥアーと、プランナーがいる。お前の行こうとしている会社はプランナーだが、本当にそれでいいのか、と。

僕はどう考えても、ドゥアー、行動派ですよ。計画するタイプじゃない。いいことを言ってもらえましたよね。それで、よしじゃあ社内でやりたいことを考えよう、何か面白いビジネスはないか、と見つけたのが、病院給食だったんです。当時の病院は、夕方4時、5時に冷たいご飯が出る時代でしたから、そこにもっとビジネスチャンスがあるんじゃないかと。

金丸:受け入れ先がなかったことに、落ち込んでいてもしょうがないだろう、と。でも、そこで食や小売りとつながりができ、やがてローソンにもつながっていくのですね。

新浪:自分でやろうと思ったなら、失敗しても何かのプラスになるし、必ず誰かが見てくれているものだということも知りました。後に病院給食の会社を立ち上げ、事業を社員食堂に広げて、三菱商事の社員食堂もやっていたんですが、入り口でコック服を着て、頭を下げて「いらっしゃいませ」なんてやっていると、あるとき、経営陣に呼ばれたんです。夜の社員バーに。常務人事担当役員が目の前にいて。

金丸:やっぱり手を挙げる、って重要ですよね。くすぶって、不満を持って、居酒屋で愚痴を言っていてもしょうがない。不満があるなら、これをやらせてくれ、と言ったほうがいいですよね。

新浪:上にしてみると、そう言われたほうが、すっきりします。

金丸:黙っていて、オレのこと昇進させてくれない、なんて言っていても何も始まりませんからね。

新浪:こんなことがやりたいんだ、と言ってくれるのは、頼もしいんですよ。できるだけやらしてやろうと思う。もちろん、言う側にも必死の努力は必要ですけどね。
実は病院給食のビジネスも、1年目は企画が通らなかったんです。三菱商事がやる仕事なのか、と言われて。ノウハウもないだろうと。そこで、フランスの同業会社をパートナーにするんですね。パリに上司を連れて行って、「どうですか。最高でしょう、パリ」と(笑)。やっぱり粘らないと。結果的にやらせてもらって、その会社は最後は上場まで行きました。そして、このとき現場との対話を続けた経験が、そのままローソンで役に立ったんです。
あのとき思いきって手を挙げていなければ、今はないですね。もちろん、リスクもありますけどね。でもね、そもそも人生って、リスキーですから。生きること自体、リスク。リスクを取らないと、成長もできません。

金丸:今の時代、リスクを取らないことこそ、最大のリスクですから。

新浪:好きなこともどんどんやる。私は今もなんですが、ケンタッキーフライドチキンが大好きで、当時三菱事の食料本部の隣のチームの仕事だったケンタッキーフライドチキンの仕事までやって、いつの間にかそのチームのリーダーにもなって。やがてそれがローソンの社長への道へとつながってもいったんです。

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