洋酒メーカー勤務女性が語る、酒と女と男 Vol.1

あの夜はあったのかなかったのか。 西新宿のBARでの秘密の体験

最近ワルいことしてますか?普段しないようなちょっとした冒険や人にいえない秘密の体験。そんな経験の共有は人間関係を深くしてくれるもの。

お酒を飲むこと自体も背徳的な要素もあるものですが、なかでもワルい感があるお酒の代表はアブサンです。

薬草系リキュールのひとつ、アブサンはニガヨモギを原料とした液体を蒸留させたもので、その魅惑的な味わいはゴッホやヴェルレーヌなど19世紀の芸術家を魅了してきました。

しかし、ヴィクトル・オリヴァの「アブサンを飲む男」でアブサンを飲む男性の前に緑の女性の幻視が現れる絵に象徴されるように、その香味成分が幻覚を引き起こすとして、20世紀初頭には一部の国で製造・販売が禁止されてきました。

アブサンの流行により、品質の悪いアブサンがでたことで、体に害があるものもでたというのがその実のようですが、ともあれ、禁止された蒸留酒であるというそのイメージからいまも背徳感あるお酒です。

高品質なアブサンも増えたことでにわかに人気がでているアブサンですが、そんな中でもアブサンを飲むためにいきたいお店は西新宿の『Bar Benfiddich』。味わいたいのは店主、鹿山博康さんセレクトのアブサンです。スイスの「fete de l’Absinthe」(アブサン祭り)にもおもむき、入手した古書のレシピの知識を持つ鹿山さんのアブサンは味わい深く多彩な味わい。

様々なお酒を頼む機会がありますが、アブサンを注文する響きには、どこかバーテンダーさんとの共犯関係的な意味合いも感じます。メーカーにより違うもののその度数は40度から90度。フランス語でも英語のabsenceが不在を意味し、ニガヨモギの花言葉も「不在」であるように、元来強いお酒であるアブサンはその日を幻にさせてしまうような可能性はあるかもしれません。

あの夜はあったのかなかったのか。

ときに悪夢もふくめ、夢のような時間もお酒の楽しみのひとつではあります。アブサンスプーンをグラスに渡して、角砂糖をおき、水を落としながら飲むのがクラシックなスタイル。水がしみ込むとアブサンは魔法にかかったように白濁を始めます。この儀式的なことをふくめて、2人の特別なワルい体験として記憶に刻まれそうです。


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