2013.12.21
森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.9北京遊膳
白菜の力を最大限に引き出す技を凝らした熟練のひと皿
鍋物、漬物、煮物にサラダなどなど。白菜は冬野菜の万能選手。日本の食卓に欠かせぬ野菜のひとつだが、普及したのは20世紀に入ってからと、意外にも日は浅い。日清日露戦争に従軍した農村の兵士が現地で食べて気に入り、種子を持ち帰ったのがきっかけと言われるように、原産地は中国北部。華北のカブと華南のチンゲンサイを交配して生まれたそうだ。「白菜が一番美味しいのは、霜に当たり、芯が太くなる1月。北京では何にでも白菜を使いますね」
そう語る齋籐永徳シェフの言葉通り、ここ『北京遊膳』でも、冬になると定番の辣白菜や煮込み料理はもとより、スープに春巻、餃子の具にと白菜が大活躍。柔らかな葉はスープや春巻きに、甘みの強い芯は煮込みにと、各々の特徴を活かした料理作りもさすがだ。
さらに、下ごしらえで蒸したり揚げたりする手間暇も技あり1本。この“紅焼白菜”も、芯をつけたまま縦に切った白菜を低温の油に入れ、徐々に温度を上げつつ20分かけて揚げることで、旨みを凝縮。香ばしい風味の中、スープと醤油のみとは思えぬ余韻豊かな甘味が舌に拡がる逸品だ。
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