SPECIAL TALK Vol.145

~留学を思いとどまり日本で学んだ文化が、世界で評価される武器になった~

令和のニューリーダーたちに告ぐ


レディー・ガガが愛用したことで世界にその名を知られた「ヒールレスシューズ」。

かかとがなく、宙に浮くように立つ彫刻のような靴は、ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されるなど、世界的な評価を受けた。その靴を生み出したのが、舘鼻則孝氏だ。

近年は日本の伝統工芸とタッグを組んだ作品も多く発表しているが、そもそもヒールレスシューズも、発想の源はかつての花魁(おいらん)が履いた高下駄だという。

日本の伝統に根差したものづくりに取り組んできた舘鼻氏は、これまで何を考えてきたのか、これからをどう見据えているのか、そして日本のアートや伝統工芸の行く末は。

舘鼻則孝氏 1985年、東京都生まれ、鎌倉市育ち。東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻卒。創作活動の概念として「Rethink」を掲げ、日本の伝統文化や伝統工芸技法を起点に、現代の価値観を表現する作品制作を行っている。花魁の高下駄から着想を得た代表作《Heel-less Shoes》は、米国歌手レディー・ガガに愛用されたことで世界的に知られている。作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されている。


金丸:本日はアーティストの舘鼻則孝さんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。

舘鼻:こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。

金丸:今日の対談の舞台は人形町にある『汽素火(きすい)』です。今年の5月にオープンした新店で、日本料理と天ぷらを融合させた新しい懐石を味わえるそうです。食材だけでなく、素材を引き立てる塩にもこだわり、自家製のものもあるのだとか。

舘鼻:料理もとても楽しみです。

金丸:舘鼻さんはレディー・ガガの「ヒールレスシューズ」を制作したことでも知られていますね。

舘鼻:最初はファッションの世界で活動していたので、シューズデザイナーと名乗っていましたが、今の肩書はアーティストです。最近では、東京都が主導する伝統産業のブランディングにも取り組んでいます。

金丸:どんなプロジェクトなんですか?

舘鼻:「江戸東京きらりプロジェクト」という、東京の伝統産業を発信する取り組みです。僕は展覧会ディレクターとして参加していて、江戸切子や東京くみひも、江戸木版画といった東京の伝統工芸を手掛ける工房と組んで、アート作品を作ったり、展覧会を開催したりしています。

金丸:伝統工芸というと、以前、伊勢根付の職人である梶浦明日香さんとも対談しました。

舘鼻:根付は特に海外の方に人気がありますね。

金丸:裏を返せば、国内の人にはあまり価値が伝わっていないということかと。

舘鼻:ですから、これまで限られた世界でしか価値を感じてもらえなかったものを、違った面から見直してもらうための作品や発信が必要だと考えています。

金丸:重要な視点ですよね。今日は舘鼻さんのようなクリエイターが、どのようにして生まれたのかをじっくり紐解きながら、日本のアートや伝統工芸についてもお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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