SPECIAL TALK Vol.144

~日本女子テニスをもう一度強く。世界での経験をもって後進育成に励みたい~


天才肌ではない子を見いだして育てたい


金丸:ジュニアというと、対象は何歳くらいですか?

伊達:小学6年生から高校1年生までです。最初に「これからどういうことに興味がありますか」と10パターンくらい提示されたんですけど、その中で興味を持ったのが、その年代の育成でした。これまでに3歳から8歳を対象にした普及活動は一度やり尽くしたし、若手のプロ18歳から22歳くらいに刺激を与え、コートにも立った。今回はたくさんの伸びしろがまだある年代に絞りました。

金丸:具体的にどのようなことをされているのですか?

伊達:2年を1期として、全国からオーディションで選手を選抜しています。1期目は4人、2、3期目は6人、現在の4期目は8人です。年に4回ほどみんなで集まって強化キャンプを実施したり、海外遠征のサポートをしたりしています。四大大会にはジュニアの大会もあるんですが、そのグランドスラムに出場することを目標に、みんな頑張っています。

金丸:そうなんですね。スポーツ選手にとっては、究極の選択かもしれませんが、特に若い選手が相手だと「才能か、努力か」と難しい判断を迫られたりしませんか?

伊達:まず言っておくと、才能だけではなくて、努力も絶対に必要です。そして、才能と言っても、いろいろあります。「ボールを扱うのがうまい」とか「同じことをずっとやり続けられる」とかも才能だと思うんです。

金丸:努力を継続できるのも才能。確かにそうですね。

伊達:私自身、小さい頃からトッププレーヤーだったわけではありません。指導者が私の中にいろいろな才能を感じて引き上げてくれたから、今がある。だからなおさら、若い子たちの“見えていない才能”を引き出したいんです。

金丸:錦織 圭選手は天才肌だと思いますが、みんながみんな、そういうタイプではないですからね。

伊達:彼のような逸材を見つけ出すことも大事です。でも、そうじゃないタイプの子を見つけたい、と思っている自分がいます。だって、私自身、天才じゃなかったので。

金丸:だけど、伊達さんも高校時代に国内のトップ選手に勝利しています。世間的には十分、天才の域なのでは?

伊達:そのときの話をすると、私は試合を戦いながら、当時の女子ナンバーワンのテニスは「教科書みたいだな」って思っていたんです。もちろん技術は高いんだけど、「今度はこっちに来る」と予測したほうにボールが来る。相性的なものもありますけど、怖さは感じなかったんですよ。

強さの秘訣は「毎日飽きずに続ける」


伊達:私が人より優れているのは、コツコツと同じことを飽きずにできることです。「同じことを毎日飽きずにやり続ける」のを、当たり前にできる。あとは集中力を長く維持できることと、運動神経が悪くなかったこと。それくらいです。

金丸:それだけでも、天才に思いますけどね(笑)。

伊達:なかなか納得してもらえないな(笑)。

金丸:伊達さんは、身長がそんなに高くありません。その点、松岡さんは身体的に恵まれていますよね。なのに、対談でご本人から「本当は気が弱かった」と聞いて驚きました。

伊達:松岡さんはお父様がデビスカップ(男子テニスの国別対抗戦)の選手ですから、そういう意味では、究極のサラブレッドです。ただ現役時代は、仮面をつけているようでした。鎧をかぶって人を寄せ付けず、いつも緊張マックスでいるような。とはいえ、90年代の女子テニス界でも、グラフもサバティーニもモニカ・セレシュも、コートの外の自分やプライベートを隠す選手が多かったですね。

金丸:勝負の世界だし、1対1の世界だから仕方ない部分もあると思いますが、当時のライバルたちと今も連絡を取ることはあるんでしょうか?

伊達:ありますよ。この間は、サバティーニとDMでやりとりしました。

金丸:えっ、DMで!?(笑)

伊達:引退すると、隠していたのがパーンと弾けるというか。だから、今の方がずっと交流しやすいですね。

金丸:私たちが見ているのは、テレビやネット越しですが、選手たちは目の前で球を打ち合っています。プレーヤー同士にしか分からない世界って、絶対にあるだろうから、そういう交流があると知って嬉しいですね。私だったら、「あのとき、あなたはなんでこっちに打ったの?」なんて聞きまくると思います(笑)。

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