A2:異性との距離感がバグっているから。
しかし交際が進むにつれて、私は陸のことがさらにわからなくなっていく。陸と一緒にいる時に、女性から連絡が来ることも多かった。
でも陸は、全員“友達”、もしくは“同期”だと言う。
ただ彼の“友達”の定義とは、何なのだろうか。
そう思っていた矢先、陸からグランピングに誘われた。
「そういえば、今度同期たちとグランピングへ行くことになったんだけど。美咲も来る?他のメンバーも、みんな奥さんとか、彼女彼氏とか連れてくるみたいで」
「そうなの?どうしようかな」
一瞬、私も考えた。交際当初だったら、喜んで行っていたかもしれない。でも彼の女友達…同期に会って、こちらが気を使うのも何か違う。
それに、誘われて断りたくなっている時点で、私の中でもしかしたら陸に対しての気持ちが冷めてきていたのかもしれない。
「やっぱり私はいいや。人見知りだし…。陸は楽しんできて」
「そっか。わかった」
結局、私はこの誘いは断ることにした。
しかしこの翌週末、インスタを見て、私はショックで手が震えそうになった。
彼が他の女性たちと一緒にサウナへ入っているところや、楽しそうに外でモーニングコーヒーを飲んでいる写真などが上がってきていたから。
これは彼自身のインスタのアカウントからではなく、“オススメ”に出てきた、彼の同期の女友達の人のアカウントから流れてきていた。
「え、キモいんだけど」
この写真を見て、とっさに出たのはそんな言葉だった。
そして自分の中で何かが急激に冷めていく。
一体、私のことを何だと思っているのだろうか。他の異性とサウナへ一緒に入ったり、仲良さそうな写真を撮ったり…。
たしかに、それ以上のことはないのかもしれない。
でも彼女がいながら、陸は、他の異性と親密にすることに対して何も思っていない。そういう考え方自体、私とは合わないと静かに悟ってしまった。
だからこの旅行が終わった後。陸に会った時に、私は聞いてみた。
「どうしたの?」
「インスタで見たよ。なんか、楽しそうだったね」
「え?何のこと?でも僕、誘ったよね?美咲のこと」
「そういうことじゃなくて…。男女で一緒にサウナとか、入るものなの?」
「同期だから、仕方なくない?水着も着ていたし…それに、事前に美咲にはちゃんと言っていたよね?」
肺の奥底から、深いため息が出てきてしまった。
― ダメだ。価値観が違いすぎる。
きっと、陸には何を言っても響かないだろう。そもそも、友達の定義が違いすぎる。
「やましいことがあるなら、そもそも誘わないよ」
「さすがに一緒には泊まってないよね?」
「もちろん。男女で別だし、カップルごとに別れてたし」
もはやそこも、どうでも良くなってきた。きっと同じ部屋で、同じベッドで寝ても…。陸の中で、手を出していなければセーフ。
“オトモダチ”枠なのだろう。
「だから、誘ったじゃん?嫌なら、美咲も来ればよかったのに」
「逆に、だから嫌なんだよ」
「友達とか同期と仲良くすることの、どこがいけないの?」
「そういうことじゃなくて…」
もう、堂々巡りだった。
姉妹しかいないせいか、それとも私の考えが古いのか…。異性とサウナに入ったりする姿なんて見たくもない。
そもそも、この同期の女性は、何のマウントなのだろう。
SNSに、わざわざ人の彼氏との“仲良しアピール”写真を載せる神経もわからないし、そんな女性のことを庇う陸もわからない。
「本当に、何もないし僕は美咲を大切にしているつもりだよ」
「うん、わかってる」
そう言われても、私には彼の異性の“オトモダチ”との距離感が理解できない。
私は絶対にそんなことしないし、今後交際していく上で、ずっと彼の女友達がまとわりついてくるのかと思うと、げんなりする。
それになんで私がヤキモキしなければならないのか…。
― この人とは、結婚できないな。
そう思い、陸には「好きな人ができた」と嘘をついて、私は早めに別れて次の人を探すことにした。
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この記事へのコメント
美しくない響きだし、肺の「奥底」と「深い」はほぼ同じニュアンスで表現力の未熟さが透けて見える。