A2:同性からの評価がとても高かったから。
真子とのデートのあとなんとなく連絡が途絶えて、2ヶ月ほど経った頃。
僕は、同期の慎二と『TWO ROOMS』で飲むことになった。すると、店内のテラス席に、真子がいたのだ。
「あれ?遼太郎さん…?」
「え!真子ちゃん!?どうしたの?何してるの、ここで」
「私は今友達と軽く飲みながらご飯食べようとしていて…」
ちょうど真子も女友達と二人だったので、思わずこう誘ってしまった。
「…良ければ、一緒にどう?こっちも男二人だし。あ、でも嫌だったらもちろん全然大丈夫」
しかし真子もその友達もすぐにOKをくれて、店員さんに確認して僕たちは4人で飲むことになった。
「遼太郎さんと、友人の美春です」
「こちら、僕の友人の真子ちゃんで。こちらは、僕の同期の慎二です」
「初めまして〜」
お互いの友人を紹介し合い、和気あいあいと盛り上がる。今日の真子は、前回のデートと違い、なんだか陽気で楽しそうだ。そんな真子を見て、思わず僕も笑顔になる。
そして場がだいぶ和んだあたりで、先日結婚したばかりの、同期の梨花が乱入してきた。
「どうも〜二人がお世話になってます!ちょっと、そこのメンズ二人!シャンパンよろしく」
酔っ払っている梨花の相手が若干面倒になっていると、真子が丁寧に対応してくれている。その姿を見て、僕は感動してしまった。
そして何より、真子はずっとニコニコとしていた。
「真子さん、今日ご機嫌ですね。ずっと笑ってる」
「そうですか?やだ、恥ずかしいな。でも楽しくて」
そう言いながら、少し恥ずかしそうにする真子は、とても可愛い。
「真子さん、この前静かだったから、楽しくないのかなって心配していたんです」
「そんなことないですよ!すっごく楽しかったです。でも緊張していたというか…私、話すのもそんなに上手くないので、逆に大丈夫だったかなと思って。だから今日、遼太郎さんに偶然でも会えて、本当に嬉しいです」
― そうだったんだ。
つまらないのかと思っていたから、真子の本音が聞けて嬉しい。何より、こんなにも喜んでくれる真子を見て、僕の心は薪で炊いたストーブのように、じんわりと温かくなっていく。
「そうだったんですね。それなら良かった」
「とりあえず…もう一度、乾杯しますか?みんなで」
「そうしましょう」
こうして、楽しい夜は更けていった。
そして帰り際、真子と美春の二人をタクシーに乗るところまで見送ると、残された梨花と慎二が妙に感動している。
「いや〜真子ちゃん、良い子だわ」
「ね。可愛いし、ああいう子と結婚したら幸せな家庭を作れるんだろうなぁ」
二人の好評価に、僕はなぜか鼻高々になる。すると、さらに梨花が付け加えてきた。
「お世辞抜きで、真子ちゃん良い子だと思う。私に対する対応も素晴らしいし、計算がないというか…純粋に遼太郎のこと好きそうだし、すごくいいじゃん。この東京で、特にこの界隈で中々いないよ、あんないい子」
梨花が真子のことを大絶賛しているのを聞いて、「同性の評価がここまでいい子ってすごいな」と思った。特に手厳しい梨花からのお墨付きを得られた真子は、本当に良い子なのだろう。
男なんてしょうもないプライドを持っている生き物だから、意外に周囲からの評価は気になるもの。
同期の慎二からも、真子と同性である梨花からも好評価の真子のことを、見直さずにはいられなかった。
何よりも、今日会って印象が変わった真子。この前のデートでは緊張していただけだと言うこともわかり、逆に純粋で信頼ができるなと思った。
そんなことを思っていると、なんとなく真子との結婚もイメージできた。そろそろ腰を据えて落ち着きたいと思っていた僕は、もう一度、真子をデートに誘ってみることにした。
そして何度かデートをしているうちに、彼女の良さがどんどん見えてきたので、僕は真子に真剣交際を申し込むことを決めた。
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年末年始の憂鬱とは







この記事へのコメント
もっとほっこり出来るライターさんのを連載を読みたい。クリスマス時期は例年不定期更新の人気連載を読めたのに、今年は無さそうで残念。