Q2:男が別れを決めた理由は?
こうして特にケンカもなく、驚くほど順調だった私たちの関係。ただ博之の方が、仕事でビッグプロジェクトを任されたらしく、9月くらいから急に忙しくなった。
それでも、彼はマメに連絡をくれるし、優しかった。
― 博之:愛ちゃんごめん!今週末の買い物、一緒に行くのちょっと難しいかも…。家でゆっくり休みたくて。
本当は、私の家の電球が切れたので、一緒に買い物へ行って、その後彼に電球を替えてもらう予定だった。
でも買いに行けなくなったこと。そして会えなくなったことに対して、私もうるさいことなんてもちろん言わない。仕事で忙しいことはわかっているし、ちゃんと相手をいたわる返信をする。
― 愛:ヒロ君、お疲れさま。電球は、また次の時でいいから、まずはゆっくり休んでね。
ここで、ワガママなんて言っていないし、疲れた相手を労うこともできる良い彼女だったと思う。
それに、会えた時は思いっきり甘えていたし、癒やしの存在にはなれていたと思う。
「あ〜疲れた」
久しぶりのデートで、だいぶ疲れ切っていた博之。それに対して私は文句も言わず、ニコニコとしながら話を聞いてあげていた。
「お疲れさま。忙しかったんだね」
「そうなんだよ。ごめんね、ほったらかしにして」
「それはいいよ、全然。気にしないで」
忙しくて会えなかったことを責めもしない。一応3歳年上の余裕を見せつけたつもりだ。
「久しぶりに会えたし、愛ちゃんがやりたいことをしよう」
そう言ってくれるものの、疲れているだろうし、博之優先で良い。
「私は特にしたいこととかないし、ヒロ君の好きなことしようよ。久しぶりの休みでしょ?」
「うーん…。外は天気悪いし、出かけるのも微妙だもんね。家で何か観ながら、ダラダラするのはどう?」
「いいね、そうしよう!」
寒くてお天気の悪い日は、家に引き籠るに限る。
こうして、私たちはデリバリーを頼み、好きな映画を観ながらまったりと家で過ごした。
「お酒飲みたくなってきたな〜。ビールでも買いに行こうかな」
「いいね。じゃあ私の分も、何かついでに買ってきて」
「何がいい?」
「何でもいい。適当に何かお願いします」
「わかった」
そして博之がお酒を買ってきてくれたので、さらに私たちのお籠りは楽しくなり、結局土日とも、一歩も外に出ずに引き籠った週末デートになった。
それでも、私は楽しかった。
「愛ちゃん、本当にどこにも出かけなくていいの?」
日曜の午後、心配そうに博之が聞いてきてくれたけど、私的には楽しかった。
「うん。私は、こうしているだけでも十分楽しいから」
「そうなんだ。だったら良いのだけれど」
一緒にいられるだけで良かったし、幸せだ。心の底からそう思っていた。
それなのに、しばらくすると急に別れを切り出してきた博之。
ワガママも言っていないし、彼のやりたいことに合わせたし、仕事が忙しくても文句ひとつすら言っていない。
それなのに、どうして博之は大好きだったはずの私を振る、なんてことができたのだろうか…。
▶前回:彼女と2泊3日の福岡旅行。38歳独身主義男が急に結婚を意識した女の言動とは
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:11月9日 日曜更新予定
男が別れを決意した理由は?








この記事へのコメント
33歳にもなってホラーだわ