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TOUGH COOKIES Vol.38

「今でもまだ好き?」別れて10年経つが、付かず離れずの元恋人に本音を尋ねたら…

SUMI

日本のケバブは鶏肉や牛肉を使う店も多いが、トルコの伝統にならったその店では、ラム肉を主流にした“本格的なケバブ”が食べられると人気で、何種ものスパイスで下味をつけたラム肉を、串に何枚も重ねて巻き付けて大きな塊にし、ゆっくりと回しながらじっくり炭火で焼く。

それを、注文を受けてからそぎ落とし、たっぷりの野菜と一緒に、焼きたてのピタパンに挟んで出してくれる。


ミチがもぐもぐと噛むたびに、スパイスやソースなのか食欲をそそる香りがふわっと流れる。かなりのボリュームに見えたケバブサンドを、何口かであっという間にたいらげると、ミチはギロリとルビーを睨んだ。

「で?」

6人掛けのソファー席。元恋人同士が向かい合い、メグの隣にルビー、ミチと並んでともみ。ルビーが仕切ったこの席の配置はナゾだ。

「4人で会う必要がある話なんだろうな?」
「もちろん。色々隠しても、ミチ兄(みちにい)にはバレちゃうと思うから、たんとーちょくにゅーってヤツで聞きますけど」
「お前の単刀直入はイヤな予感しかしないな」
「今もメグさんのこと、好きなの?」

単刀直入を超え過ぎた剛速球が放たれ、メグも、そしてともみも固まり、ミチは、「な…」と、口をパクパクとした。そんなミチを見たのは初めてだと、ルビーだけがきゃっきゃとはしゃぐ。

「そんなに慌ててるのは、まだ好きだってことで正解?」
「る、ルビーちゃん」

メグの遠慮がちな静止を全く気にせず、ルビーは続けた。

「たぶん、メグちゃんは今も大好きなんですよね、ミチ兄のことが」
「…」
「ルビー、なんでそんなことをお前が聞く?しかもこの話題を今、4人で話す必要があるか?他人の事情を踏み荒らすようなまね、趣味悪いぞ」

非難を含んだ低い声に、ルビーが「だよねぇ~私も他人の恋愛に割りこむなんてイヤなんだけどさぁ」と笑いながら答えた。

「みんなで闘わなきゃ、光江さんには勝てないっしょ」

この記事へのコメント

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No Name
光江さんの作戦、すごいわーー。
そしてこれを考えた作家さんも素晴らしい!
2025/11/11 05:429
No Name
ルビーはまだ若いけど苦労が多かったんだよね。 だから、無邪気さの奥に強さがある。 辛い経験乗り越えたからこそ“物事の本質” をつかんだり、人の気持ちに敏感になれるのだろうね… ミチとメグの件が解決したらいよいよルビーの過去が明かされる!? 
2025/11/11 05:549
No Name
そういうことね!
でも、そうだよね光江さんだってあんな風に別れさせるような事しない🥺  ともみとルビーを試すのも含めてメグミチに対する親心や優しさからなんだろうね。
2025/11/11 05:378
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TOUGH COOKIES

SUMI

港区・西麻布で密かにウワサになっているBARがある。
その名も“TOUGH COOKIES(タフクッキーズ)”。

女性客しか入れず、看板もない、アクセス方法も明かされていないナゾ多き店だが

その店にたどり着くことができた女性は、“人生を変えることができる”のだという。

心が壊れてしまいそうな夜。
踏み出す勇気が欲しい夜。

そんな夜には、ぜひ
BAR TOUGH COOKIESへ。

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