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友情の賞味期限 Vol.8

「そろそろ結婚した方がいいのかな」毎年、誕生日のたびに頭をよぎる30代女性の切実な思い

西宮ことり

「え?」

思わず、私と愛梨はふたりしてまりかを見た。

「今すぐに、子どもが欲しいってわけじゃないんだけど、私、もう38歳になっちゃったしさ。金額もね、年1の海外旅行を1回減らすくらいの感覚なのよ。しかも都の助成もあるし、今なんて分割払いやサブスク型保管まであるから、そんなに身構えることでもないのかなぁって」


子どもがいる私がなんて声をかけていいのかわからず、一瞬、沈黙が流れた。それは愛梨も同じだったみたいだ。

けれど、まりかの言葉に私は救われたような気がした。

誰もが見えない不安や心の奥にある本音を抱えながら、表面を取り繕って必死に生きている。

「あのね。私も卵子凍結…あ、受精卵凍結か。考えたことあるよ。夫は今すぐにでも二人目が欲しいらしいんだけど、私はまだいいかな…って。もちろん“まだ”って言える年齢ではないのもわかってるんだけど、圭太が幼稚園に行ってくれてやっと自分の時間ができたから。って、内緒ね。ふたりにだから言っちゃう」

愛梨が言った後で、私も続いた。

「実はね、私…もう二人目は無理かなぁって。実はさ、レスなんだよね」

「そうなの!?それは旦那さん、もったいないことしてるなぁ。こんなにイイ女なのにっ」

「本当だよ〜。でもさ、今はお互い忙しいから…っていうのもあるかもよ」

まりかが明るく言い放ち、愛梨も言葉を選びながら、慰めてくれた。


私が「ありがとう。もう一回乾杯しよう」とグラスを持ち上げると、愛梨とまりかもグラスを持った。

「私、ふたりとはずっと友達でいられる気がする…」

「うん。だからパーティーの時言ったんだよ。私たち、ずっと友達でいようねって」

「ちょっと、こっちが恥ずかしくなるんですけど!君たち、何歳よ。女子高生なの?」

とまりかが笑ったと思ったら、急に真顔になった。

「あ。忘れてた。私、颯斗とさよならしたんだよ。その話していい?」

「え!!」
「そうなの?」

まりかの卵子凍結発言で、これまでの空気が変わり3人の気持ちがカチッとハマったような気がした。


▶前回:「離婚できない…経済力がないから」麻布十番在住、37歳セレブ妻の苦悩

▶1話目はこちら:「男の人ってズルい…」結婚して子どもができても、生活が全然変わらない

▶Next:10月8日 水曜更新予定
卵子凍結を検討していると言ったまりかだが、恋愛関係で急展開が…!?

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この記事へのコメント

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No Name
二人とはずっと友達でいられる気がする?
今も、仲良し演技で心の中では各々が色々考えて微妙な空気や沈黙があったりする位だから、ずっと友達なんて無理なんじゃ😂 
2025/10/01 05:3710
3バカ
何だろう、うわべだけの薄っぺらい関係だなと感じる。特に由里子はちょっと性格的にどうなんだろう? まりかもデリカシーに欠けるし。愛梨は多分まりか→由里子に夫の話が漏れて面倒に感じたからシャンパン奢って終わったことにしただけだろうね。
あと今日は由里子目線の日なのになんでまりかタイトルになってるんだろう....
2025/10/01 06:108Comment Icon1
No Name
え、ギャラ飲みアプリ? しかもメイ。週末のフレンチでスープどんぶり飲みした小動物もメイだったような....
2025/10/01 05:527
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友情の賞味期限

西宮ことり

結婚するか、しないか。
子どもを持つか、持たないか。
キャリアを追い続けるか、それとも手放すか。

私たちは、人生の岐路に立つたびに選択を重ねてきた。
女性の場合、ライフステージに応じて人間関係も変化していく。
同じ境遇の人と親しくなることもあるが、それは一時的なつながりにすぎないことも多い。

何にも左右されない“女の友情”は、本当に存在するのだろうか。
それとも――友情にも「賞味期限」があるのだろうか。

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