「え?」
思わず、私と愛梨はふたりしてまりかを見た。
「今すぐに、子どもが欲しいってわけじゃないんだけど、私、もう38歳になっちゃったしさ。金額もね、年1の海外旅行を1回減らすくらいの感覚なのよ。しかも都の助成もあるし、今なんて分割払いやサブスク型保管まであるから、そんなに身構えることでもないのかなぁって」
子どもがいる私がなんて声をかけていいのかわからず、一瞬、沈黙が流れた。それは愛梨も同じだったみたいだ。
けれど、まりかの言葉に私は救われたような気がした。
誰もが見えない不安や心の奥にある本音を抱えながら、表面を取り繕って必死に生きている。
「あのね。私も卵子凍結…あ、受精卵凍結か。考えたことあるよ。夫は今すぐにでも二人目が欲しいらしいんだけど、私はまだいいかな…って。もちろん“まだ”って言える年齢ではないのもわかってるんだけど、圭太が幼稚園に行ってくれてやっと自分の時間ができたから。って、内緒ね。ふたりにだから言っちゃう」
愛梨が言った後で、私も続いた。
「実はね、私…もう二人目は無理かなぁって。実はさ、レスなんだよね」
「そうなの!?それは旦那さん、もったいないことしてるなぁ。こんなにイイ女なのにっ」
「本当だよ〜。でもさ、今はお互い忙しいから…っていうのもあるかもよ」
まりかが明るく言い放ち、愛梨も言葉を選びながら、慰めてくれた。
私が「ありがとう。もう一回乾杯しよう」とグラスを持ち上げると、愛梨とまりかもグラスを持った。
「私、ふたりとはずっと友達でいられる気がする…」
「うん。だからパーティーの時言ったんだよ。私たち、ずっと友達でいようねって」
「ちょっと、こっちが恥ずかしくなるんですけど!君たち、何歳よ。女子高生なの?」
とまりかが笑ったと思ったら、急に真顔になった。
「あ。忘れてた。私、颯斗とさよならしたんだよ。その話していい?」
「え!!」
「そうなの?」
まりかの卵子凍結発言で、これまでの空気が変わり3人の気持ちがカチッとハマったような気がした。
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卵子凍結を検討していると言ったまりかだが、恋愛関係で急展開が…!?
この記事へのコメント
今も、仲良し演技で心の中では各々が色々考えて微妙な空気や沈黙があったりする位だから、ずっと友達なんて無理なんじゃ😂
あと今日は由里子目線の日なのになんでまりかタイトルになってるんだろう....