◆これまでのあらすじ
莉乃(30)と正輝(30)は、性別を超えた大親友。幼少期は家族ぐるみの付き合い。大人になってからは同じ大学から同じ外資コンサル業界へと進み、莉乃がピラティススタジオ経営者として独立した後も、その友情は続いていた。
ある日莉乃は、正輝に新しくできた彼女・萌香(27)を紹介される。親友の彼女と仲良くなりたいと考えていた莉乃だが、現れた萌香は凍りつくような冷たい表情を浮かべていて…。
▶前回:「男女の友情は成立する」と言う30歳女。だけどある夜、男の親友と…
Vol.2 <萌香>
「え…。今度紹介してくれる“親友”って──女の子なの?」
汗ばんだ素肌に、弛んだシーツが不快に張り付く。
ベッドから体を起こした私はあらわになった胸元を隠すため、正輝くんの大きなTシャツを頭から被り、改めて尋ねた。
「女の子が、親友なの?」
正輝くんの麻布十番の部屋からは、東京タワーが綺麗に見える。
キラキラと真っ赤に輝く東京タワーが素敵で、この部屋に泊まりに来ると私の胸は、いつだってキュンとときめく。
だから今、この部屋でこんなにザラザラした気持ちになるのは、正輝くんと付き合い始めてから初めてのことだった。
だけど正輝くんの方は、そんな私の気持ちには全く気づいていないらしい。
「あれ、言ってなかったっけ」
上半身裸のままキッチンに立ち、冷蔵庫から取り出したウィルキンソンのペットボトルをグビグビと飲み下す。
「幼馴染だし、大学の同級生でもあって、仕事の業界も最初は同じだったんだよね。
女の子、っていうか…俺にとっては男も女もなくて、ただの“親友の莉乃”って感じだよ」
「ふぅん…」
呑気にバナナの皮まで剥き始めた正輝くんを前にして、私は一応納得したような声を出した。
だけど、心の中ではどうしても思ってしまう。
男女で親友とか、そんなわけなくない?
って。
この記事へのコメント
莉乃の「正輝はさぁ、こう見えてほんと抜けてるところあるから。ほらあのプロジェクトの時も」
この発言...続きを見るも無神経極まりない。
昔のプロジェクト?あれは莉乃のせいだろ!とか同じ会社で働いてたの?と思うほどお互いの過去とか楽しそう話されて「どう思う?」言われても困る🤷🏻♂️ 挨拶後すぐタメ口、勝手にちゃん呼び。妙に上からな女に感じて、仲良くなりたい気持ちも失せる。
うそーーーーー? 今日は全く全然微塵も気配り無かったけど。
親友親友って莉乃の話を頻繁にしてた時点でもう...