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TOUGH COOKIES Vol.17

「え?これがあなたの彼氏?」30歳経営者だという男の写真を見て、女が絶句したワケ

港区・西麻布で密かにウワサになっているBARがある。
その名も“TOUGH COOKIES(タフクッキーズ)”。

女性客しか入れず、看板もない、アクセス方法も明かされていないナゾ多き店だが、その店にたどり着くことができた女性は、“人生を変えることができる”のだという。

タフクッキーとは、“噛めない程かたいクッキー”から、タフな女性という意味がある。

▶前回:「落ち着いたらご飯に行こう」っていつなの?曖昧な男女関係の行き着く先とは


Customer4:離婚を選べない母・浜本葵(41歳)/整形を反対され家出中の娘・浜本凪(16歳)


― まさか家出JKの世話をすることになるとは。

BAR・Sneetで偶然会ってしまった愛に頼み込まれて、ともみはしぶしぶ…休業のはずのTOUGH COOKIESに、家出JKこと愛の友人の娘だという浜本凪(16歳)をつれて向かうことになった。

SneetからTOUGH COOKIESまで、10分ほどの道中、愛の凪への尋問と説教は止まらず、ともみはその情報から、凪が小学校から大学院まで一貫教育の、有名私立校の高校生で、もうすぐ2年生になることを知った。

凪は、2月末、春休みの直前に家出したらしい。もうすぐ4月になる今日までの約1ヶ月の間、どこで暮らしていたのかと問い詰めた愛さんに、凪はへらへらとかれぴのおうち♡と答えた。

“かれぴ”とは、愛が凪を見つけた時…六本木のクラブの前でイチャついていた、まさにその相手らしい。

けれどともみは、凪が“かれぴ”の家にいたということよりも、“家出”といいながら、南麻布の自宅から徒歩圏内の六本木で遊んでいたという、その幼さの方が気になった。

― 結局、地元からは離れられないっていうのが、なんとも。本気で親に反抗するつもりなら、見つからない場所へ、もっと遠くに隠れるはずでしょ。

守られて育った世間知らずなお嬢様には、到底そんな覚悟はできないんだろうな、と、この時のともみは、愛に叱られているのになぜか楽しそうな凪に、半ば呆れた思いを抱いていた。



TOUGH COOKIESに着いてすぐに、愛は凪の母親に電話をかけたが、通じなかったようで。

「もう一回かけてくるね」

凪には、話す内容を聞かれたくないのか、愛は、電話のたびに店の外に出て行った。その間、ともみと凪は、カウンター越しに2人きりになった。

そこで改めてともみのビジュアルを認識した凪が、その美貌を整形だと決めつけ、自分も整形をしたいからクリニックを教えて、とせがんだり、それなりに待ち時間をつぶしていた。けれど、愛が何度目かの電話から戻ってきた時、凪が、溜息をつき、もういいよ、と言った。

「電話、通じないんでしょ?お母さんがなにかと忙しいのもわかってるし、別に会いたくないし。だから愛ママ、もう私を逃がしてくれない?」

誰が逃がすか!と愛が怒ると、凪は、こわ~いと笑って、化粧室に向かった。目的は電話だったのだろう。はしゃぎ笑う声が聞こえはじめると、愛が、定休日だけどジントニックを頼める?と、申し訳なさそうに聞いた。

ともみが、もちろんです、と作り始めると、あの子が戻ってくるまでにどこまで話せるかわからないけど…と、凪の家庭環境について説明を始めた。

「あの子の父親って、政治家なんだけど…知ってる?浜本宏太朗って。割と有名人だと思うけど」

その国会議員のことを、ともみは知っていた。

浜本宏太朗の父も祖父も…代々、閣僚を務めてきた、サラブレットの三世議員で、イケメン議員として世間の好感度も高い。所属する党の青年局の代表なども任されていて、政治的な手腕もあるらしく、本人も将来は閣僚にと期待されている人物だ。

確か選挙区は九州の方だったと思うが、渋谷区や港区にかなりの不動産を持っているという話を聞いたことがある。

「凪の母親とは銀座のクラブで出会ったの。私も働いてた店ね。で、恋愛関係になって、子どもができて結婚したんだけど…子どもができたってわかった時、由緒正しき政治家一家なものだから、大騒ぎになってさ。

クラブで働く女と結婚なんてとんでもないって、最初は大反対されたのよ。当時はまだ参議院議員だったんだけど、次はいよいよ、初の衆議院選挙に出馬か、って時期だったし」

でも宏太朗さんが頑張ったんだよね、という愛の話し方に、凪の父親であるその国会議員とも昔馴染みであることが透けて見えた。

「責任をとらずに、彼女を捨てたことをマスコミに知られて騒がれた方が、今後の政治生命にかかわるから、って、親族とか支持者を泣き落とした形で、結婚にこぎつけたの。

その時は、コイツなかなかやるじゃん、って思ったのよ。葵(あおい)…あ、凪の母親の名前なんだけど、葵から、彼は、どんな手を使っても絶対に私と結婚するって言ってくれてる、とも聞いてたからね。実際、私が店で見てきた宏太朗さんは、葵を、心の底から大事にしてるように見えたしさ」

こうして凪の母である葵は、有名政治家の妻となった。しかしその後、思わぬことが起きたのだという。

この記事へのコメント

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相変わらず読みごたえ抜群! その彼ぴ、誰が見ても胡散臭いよね。年商を10倍にする起業講座?肩から手首までびっしりタトゥー?自撮り多いとか余計にキモい。凪(親名義かな) のカード使われてそう😂 大丈夫? 愛さんが腹立つに決まってんだろ!!と言う気持ちもよく分かるわ。ルビー不在でともみはどこまで頑張れるか、先の展開に期待!
2025/06/17 05:3613Comment Icon1
No Name
まず凪の父親(失格だけど一応親) を呼んで説教してやりたい。
2025/06/17 05:4411
No Name
エラが張っているのを整形するとなると、骨を削るとかかなり大掛かりなことになる?から、ともみの過去にいた大人の誘惑と整形で人生を壊された人物が気になる。 凪は反抗期だしすべての根本には寂しさがあるのでしょうね。
2025/06/17 07:2010
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TOUGH COOKIES

港区・西麻布で密かにウワサになっているBARがある。
その名も“TOUGH COOKIES(タフクッキーズ)”。

女性客しか入れず、看板もない、アクセス方法も明かされていないナゾ多き店だが

その店にたどり着くことができた女性は、“人生を変えることができる”のだという。

心が壊れてしまいそうな夜。
踏み出す勇気が欲しい夜。

そんな夜には、ぜひ
BAR TOUGH COOKIESへ。

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