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30歳になりまして Vol.4

「バリキャリ」って言われると、嫌味に聞こえる…。大手IT企業30歳独身女性の本音

◆これまでのあらすじ

大手IT企業のマーケティング部課長・桜庭菜穂。30歳になった途端に、結婚どころか交際相手もいない自分の現状に、焦りが芽生える。意を決して始めたマッチングアプリは思うようにいかず、結婚相談所に行くことに――。

▶前回:「マッチングはするのに、続かない」2回目のデートもすぐにお開きに…30歳女の切実な悩みとは


Vol.4 「バリキャリ」って、言わないで


「菜穂さん、いただいた書類を拝見しました」

首元にスカーフを巻いた、母親と同世代くらいの「コンシェルジュ」が言う。

「まず、青学卒の女性はモテますよ。それに収入が素晴らしいですね。大手企業で、900万円も稼いでるのよね?」

「は、はい…」

「知ってるかしら?今は婚活中の男性の多くが、女性に年収500万円以上を求めるという調査もあるんです」

「…そうなんですか」

「菜穂さんは、余裕で超えましたね。正真正銘のバリキャリ女子、素晴らしいです」

私は、曖昧に一礼する。

― 結婚相談所ってこんな感じなのか。

年上女性から向けられる値踏みするような目線に、私はソワソワする。

「でも、趣味の欄に『仕事』はよくないわ。料理とか、旅行とか、なんでもいいから書き換えてね」

「ですよね…。わかりました」

実際、今の自分は仕事が趣味だと私は思う。

週末に買い物に行ったり、映画を観たり、友達と美味しいものを食べに行ったり。それなりに遊びはするが、目的は「週明けに頑張るため」のエネルギーチャージに過ぎない。

そのアクティビティ自体を楽しむ、という感覚があまりないのだ。

そんなことを考えていると、コンシェルジュは妙に明るい声で言った。

「総じて、とてもいいプロフィールでした。…問題があるとしたら」

この記事へのコメント

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No Name
バリキャリに過剰反応し過ぎ!
2025/05/28 05:1616Comment Icon7
No Name
菜穂の好感度がどんどん下がっていく。
あと、相談所の人もありきたりな描写だけど感じ悪い。青学卒の女性はモテますよって、いやそんな学歴に飛びついてくるような男は無視すればいいし、20代限定で探してる男はこちらから願い下げればいいだけ。
2025/05/28 06:4011
No Name
社食で牛丼をかき込んで5分で食べ終わってるような先輩に話しかけるなんて、相当勇気あるなぁその若い男子。「今度ディナーでも行きませんか? 僕マザコンなんです」なんて言わないでよ😆 なんだかありきたりな展開。その内同窓会で片思いしてた先輩とかに会う? 元彼に連絡? なら過去に何度も読んだ記憶がw 安西さん普通にいい人だったけど、妊娠のお祝いは貰っても困ると言うか逆にお返しとか気を遣わせそうだけど…。なんでも皮肉や嫌味に聞こえてしまう自分が嫌で、プレゼントを贈ったら心の優しい自分に酔えるから?
2025/05/28 05:318Comment Icon5
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30歳になりまして

「30歳」

その数字は、女性の心に妙に重くのしかかる。

「年齢なんてただの数字」と本人は思っていても、世間がそれを許してくれない。

職場では、つい最近まで若手だったはずなのに、いつのまにか中堅どころになっている。

マッチングアプリだって自動的に30歳になった途端に「いいね」が減った気がする。

気持ちは追いついていないのに、30歳という年齢の重みがが急にのしかかる。

大手IT企業のマーケティング部で、課長職を担う桜庭菜穂は、30歳になって迷いが生じ始めた…。

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