A2:そのモテ自慢、いりますか?デート中に他の女の話は絶対NG。
そして迎えた二度目のデート。今回も、神楽坂のちょっと薄暗くてムーディーで、でも美味しい和食店を予約してくれていた健太。
「美味しい…!本当に健太さんって、お店選びのセンスいいですよね」
「そう言ってもらえると嬉しい。でもさ、誰と食べるかが結局重要だよね」
「それは間違いない」
― お店選びのセンスは最高なんだよね…。
デートの勝負は、お店選びから始まる。その点、健太は花丸だ。
この日は店のムードも手伝ってか、いつの間にか敬語も抜けていた私たち。デートの中盤までは、とても楽しい時間が過ぎていく。
しかしここで、カウンターの上に置かれていた、健太のスマホが光った。
見たくなくても見えてしまったその画面。内容まではわからないけれど、LINEの受信通知だった。
ただ健太は気がついていないのか、見向きもしない。だから一応、聞いてみた。
「健太さん、大丈夫?何か来ているかも」
すると、少し気だるそうに返事をしてきた健太。しかもスマホを、画面が見えないように裏返しだ。
「あぁ、大丈夫」
「急用とか、仕事なら出てね」
最初は、食事中だから…いや、デート中だから私に気を使ってくれているのかと思った。でも次の発言に、私は思わず心の中で「は?」と思うことになる。
「うん、ありがとう。たぶんどうでもいい内容だから。直近で、春香ちゃんに会う前にちょっとだけデートしていた女の子から連絡が来てさ。『最近どうしてるの?またご飯でも行こうよ』って」
― だからさ…その話、なんで今するの?そもそも、私に言う必要ある?
でもここは大人の対応をするしかない。
「え〜!そうなの?で、なんて返事したの?」
「返事してないよ」
「そうなんだ」
「なんか、いつもそうなんだよね。返信しなくても、またしばらくすると向こうからまた連絡くるというか…」
デートで、他の女の話をするメリットがどこにあるのだろうか。これを聞いて、「健太くん、好き♡」となる女性がどれほどいるのだろう。
男性は、もしかすると他の男性の影を感じると燃えるのかもしれない。
でも、女性は逆だ。
「健太くん、優しいしモテそうだからなぁ。その女性側の気持ち、なんとなくわかるかも」
「そう?でも別に俺、軽いわけじゃないからね!でもなんかこう…人として好かれるっていうか、信頼されるタイプなのかな」
だんだんと、健太が可愛く見えてきた。
きっと彼はモテ自慢をしたいのだろう。「俺、こんなにモテるよ!」とか、「俺って、こんなに素敵なんだよ!」とアピールしてくれているのだろう。
だから一応、お望み通りの反応をやってみてあげる。
「それは、嫉妬しちゃうなぁ♡」
「……え?」
正直、女性は目に見えない他の女性に対して嫉妬はそこまでしない。むしろ「この人、相当遊んでいるな」と思うと、引く。
でも健太はわかりやすく喜んでおり、大人として、ここは上手に包み込んであげようと思う。
「それはどういう意味で?」
「そのままの意味でしょ」
「ちょっと待って…嬉しいんだけど。でも、本当に別の人とか興味ないから。俺、春香ちゃんのこと真剣にいいなと思っているし」
「本当に?」
「うん。まだ二度目だけど、もう少し時間を一緒に過ごせたら、付き合いたいなとも思っているし」
普通に、この言葉は嬉しい。それに、ただモテ自慢をしたい、可愛い年下くんだ。
「私は付き合うなら、結婚を前提がいいな」
「もちろん、わかっているよ」
この日も2軒目まで行って、盛り上がった。
しかし健太とは、もし付き合ったとしても一緒にいる時は楽しいけれど、会えない時は、不安になってしまうだろう。他の女の話をあそこまでする男だと、「他の人と会っているのかな?」など疑ってしまうに違いない。
不安にさせるような男性との恋愛は、もう30代では求めていないから。一緒にいる時も、むしろいない時も、安心できる相手がいい。
― 少し冷静になって考えてみよう。
そう思い、深追いせずに少しだけ距離を取りながら、様子を見ることにした。
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文章のセンス無さ過ぎ