2024.10.11
年収4,000万男子の恋愛事情 Vol.5いつでもどこでも動じず遠慮せず、空気をあえて読まず常にマイペース。玲みたいなタイプは、青学時代、内部進学の同級生にもいた。
いわゆるお嬢様、温室育ち、箱入り娘。
彼女たちは案外庶民的な居酒屋も好きで、ここぞとばかりにたらふくお酒を飲んだりする。
東大卒で大手商社勤務の玲も、きっと有名私立出身の育ちがよいお嬢様なのだろう。
そして、日頃のストレスをお酒を飲むことで晴らしているのかもしれない。
ただ、その相手が元太なのが問題だ。彼は頭の回転が速い方ではないし、気を使える方でもないから。
「玲ちゃんさ、こんなに美人なのに、性格がサバサバしすぎてるんだと思うんだよね。かわいげがないの。それなのに、付き合うと重い。それって…最悪よ。よくない方のギャップ」
― おいおいおい。
元太も相当飲んでいるのだろう。的を射ているが、やはり気を使えていない。
なんてフォローしようかと考えていると、玲が泣き出してしまった。
「そ、そんなの…私が一番わかってるよ」
「玲ちゃん、大丈夫だよ!なんの話かよくわかってないけど、過去の男性のことかな?その人にとって玲ちゃんが重いと感じただけで、その重さが心地良いって男性もたくさんいるから」
俺がおしぼりを渡しながら早口で慰めると、玲は泣き止んでくれた。
「本当に?」
「うん、いるいる。ちなみに元太は、彼女との連絡はチャット並み。毎日でも会いたいタイプ!だよな?」
「お、おう、全然いい!過度のメンヘラはムリだけど、毎日会いたいと言われるのは可愛い。むしろ嬉しい」
さすがに元太も慌てたのか、必死でフォローに入る。
― これなら、香澄と2軒目に行った方がマシだったんじゃ…。
その後も玲が注文した日本酒を3人で4合ほど飲み、25時近くにようやく店を出た。
「よし!元太、もう一軒行くか」
玲は泣いてスッキリしたのか、元気になって元太を誘っている。
「行かない行かない!俺は帰る」
「え〜〜飲もうヨォ」
玲は、いつのまにか元太を呼び捨てにしている。今日一日でだいぶ仲良くなったようだ。
― なんだか姉弟みたいだけど、気が合うんだろうなぁ〜。
ホッコリとした気持ちでふたりのやり取りを見ていたのだが、玲が想定外なことを言い出した。
「じゃあいいよ。私は翔馬くんと帰るから!元太バイバイ〜!」
そして、俺は玲に半ば無理矢理タクシーに押し込まれたのだ。
― なんちゅう展開なんだ。
彼女が頑なに家の場所を教えないので、とりあえず青山方面へ向かうことにした。
― 玲をどうしよう…。
考えなければいけないのに、疲れているのと過度のアルコールのせいで頭が働かず、瞼も閉じていく。
「…まくん、しょうまくん。起きて」
俺は玲の声で我に返った。一瞬目を閉じただけだと思っていたのに、実際には何分も経過していたようだ。
「よかった、起きた。ほら、着いたよ〜」
「えっ?ここは…」
ミナからもらったプロテインの紙袋を抱えながら、俺は頭をフル回転させた。運転手にマンションの住所を伝えた記憶がないからだ。
「元太と飲んでるとき、翔馬くんがどこに住んでるか、聞いちゃったんだよね〜」
状況が把握できないまま、俺は玲に手を引かれ自宅があるマンションの前で降りた。
「眠いの、翔馬くんの家で寝る!」
「……玲ちゃん、帰った方がいいよ。俺も男だよ?」
「わかってるよ。でもお願い。今日はひとりで居たくない」
マンションの前で押し問答し続けるわけにもいかず、俺は玲を部屋に招き入れた。
香澄とデートして、ミナにも偶然会い、そして今、玲と一緒にいる。
― 俺、チャラすぎる。
決してそんなつもりはないのだが、行動だけみるととてつもなくヤバいやつだ。これは何としても理性を保ち、眠るだけにしなければならない。
俺は、玲に部屋着とペットボトルの水を渡して「おやすみ」と寝室に押し込んだ。
― 眠い…ソファで横になろう…。
「待って。行かないで」
面倒なことになりたくない、その一心で俺は邪念を振り払いベッドルームを出ようとしたのに、玲が後ろから抱きついてきた。
「玲ちゃん…」
俺は、彼女の手を優しく掴んだ。
▶前回:「まだ、会って2回目なのに…」29歳女の家に呼ばれた男が、お願いされた意外なこと
▶1話目はこちら:「LINE交換しませんか?」麻布十番の鮨店で思わぬ出会いが…
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泥酔した玲と翔馬は朝を迎え…
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