アオハルなんて甘すぎる Vol.28

「寝起きの君は…」初のお泊まりデートの翌朝、彼のひと言に大パニックになり…

前回:「“うらやましい”は、ヒント」女性がデート中に惚れ直した、男が語る人生教訓とは



目覚めてすぐ、ぼんやりとした視界のままに、自分の背中、そして首の下に感じるぬくもり。それらが何なのか気づくまでにしばらく時間がかかった。

― だ、抱きしめられてる…!

一気に意識が覚醒して、心臓が猛スピードに加速、全身に沸騰しそうな程の熱がかけめぐっていく。

ここはベッドで…伊東さんの腕の中だ。

首の下にあるのはいわゆる腕枕というもので伊東さんの、ひ、左手?じゃあ私の体を抱きかかえるようにのせられている重みは、右手?いや今どっちがどっちなんてどうでもいいでしょと自分に突っ込みながら、私はさらにとんでもない状況に気がついてしまった。

― な、にも、着て、ない…!!

うぎゃぁ!と叫び出しそうになったのを何とか抑えた。服はどこ?と慌てながらも、隣で寝ている気配の伊東さんを起こさぬように…静かに首をもたげて見渡すと、ベッドの脇、私の足元横あたりに紺色のバスローブが落ちているのが見えた。

そうだ、昨日シャワーを浴びた後バスローブで…と思い出したと同時に、その後の記憶も蘇ってきた。

帰らないと決めた後、伊東さんが部屋を手配してくれて。私がシャワーを浴びている間に伊東さんが注文してくれていたようで、ソファーテーブルの上にはグラスとボトルが入ったワインクーラーが見えた。

「宝ちゃんの緊張がオレにもうつっちゃいそうだから」

これで少しでも和らぐといいけど、と笑いながら、白ワインをグラスに注いで手渡してくれた伊東さんは、私の頬に軽いキスを残してからバスルームへ向かった。

至近距離の微笑みに増した心拍数をごまかすために慌ててワインを口に含んだ。いっそ酔った方が楽になるのかもと1杯目を一気に飲み干し、2杯目を自分で注いだけれどむしろソワソワが増してしまい、部屋をうろうろしてしまう。

このオーベルジュに客室は3部屋だけで、ここはスイートルームだと部屋に案内してくれたバトラーさんが言っていた。キングサイズのベッドが置かれた寝室と、暖炉のあるリビングのような空間。

暖炉の炎と間接照明、そしてキャンドルだけが部屋の明かりだ。

窓の外では雪が降り続けている。今年初めてみる雪がまさかここで、伊東さんと…になるなんて。

初雪を一緒に見た相手との恋は叶う…というのは韓国ドラマのセリフだったっけ…なんてことを思い浮かべてしまったことに恥ずかしくなり、その思考を振り払おうと首をぶんぶんと横にふった時、クスッと声がして。

振り返ると、伊東さんが、何してるの?と笑っていた。

......


この記事へのコメント

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No Name
付き合うことになったんだね♡ 本当に良かった!
愛さんからのアドバイス深いなぁ。
2024/08/31 10:0637
No Name
このアオハルなんて甘すぎる、是非書籍化してくれないだろうか。
本として一冊持っていたい。
2024/08/31 17:0632返信3件
No Name
自分の世界の全てを相手に委ねすぎないとか、今回も深いなぁ。。
小説の話なのに、そうだよなと我ながら考えさせられるよ。
そして、宝は伊東さんと付き合えることになって良かったねぇ🥺
2024/08/31 10:5030
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