2024.09.02
恋のジレンマ Vol.1恋は、突然やってくるもの。
一歩踏み出せば、あとは流れに身を任せるだけ。
しかし、最初の一歩がうまくいかず、ジレンマを抱える場合も…。
前進を妨げる要因と向き合い、乗り越えたとき、恋の扉は開かれる。
これは、あるラブストーリーの始まりの物語。
恋の足かせ【前編】
「あれぇ…。あのデータ、どこいっちゃったんだろう…」
大手スポーツメーカーに勤める福園麻貴は、パソコンのモニターを食い入るように見つめた。
明日のプレゼンに向けて用意しておいたはずのデータファイルが見つからないのだ。
― 嘘でしょう?消去なんてしてないよねぇ…。
時刻は、間もなく19時。
麻貴は、焦りをおぼえつつ、手元のマウスを忙しなく操作する。
絶対に必要なデータではないものの、なければ説得力に欠けるプレゼン資料になってしまう。
麻貴は現在27歳。入社5年目にして、初めて商品開発チームのプロジェクトリーダーを任され、ここまで作業を進めてきた。
それだけに、やりきれない思いが込みあげる。
「おい、福園。どうした?」
名前を呼ばれ、麻貴はハッと顔を上げた。
斜め向かいのデスクにいる三浦が、様子がおかしいと察したのか、声をかけてきたのだ。
三浦は3つ上の先輩で、後輩の面倒見がよく仕事もできるため、広く慕われている。
「いや、あの…。保存しておいたデータが見当たらなくて…」
「んん?明日のプレゼンのやつか?」
三浦はそう言うと席を離れ、麻貴の傍らに立った。
シトラス系の爽やかな香りが鼻に届く。
「なんだ。バックアップ取ってなかったのか?」
「はい…」
腕組みしながらモニターを眺める三浦の隣で、麻貴は肩を落とした。
実は、麻貴はこのあと友人と食事に出かける予定が入っていた。
― 完全に、そっちに気を取られていたせいだ。三浦さんには言えないな…。
「ちょっと、代わってもらっていい?」
何か解決の手だてが見つかったのか、三浦が言った。
麻貴は慌てて立ち上がる。麻貴は、背が低いほうではないが、三浦の目線はさらにずっと高い位置にあった。
またフワッと爽やかな香りが漂い、鼻孔をくすぐる。
三浦はモニターに向かい、素早くキーボードを打ち始めた。
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