2024.07.23
外界の喧騒を忘れさせてくれる、洗練のシェフズテーブルへ
たゆまぬ変化を続ける街・渋谷でも、とりわけ劇的に生まれ変わった桜丘エリアに出現した「Shibuya Sakura Stage」。
その高層階に、カンファレンスホール&レストランフロア「manoma」が誕生した。
5階の展望スペースで直通のエレベーターに乗り換えてさらに38階へ、というアプローチが既に特別な時間を予感させ、胸が高まる。
……が、謎めいたエントランスの前はいったん通過、がお約束。
併設のダイニングバー『STEREO』でアペリティフとともに東京のダイナミックな眺望を楽しんでから、改めて『FUSOU』へ案内されてディナーが“開幕”するという趣向なのだ。
見目麗しい品々は、“魅せる”ことを意識した美しいオープンキッチンから生まれる
虎ノ門ヒルズ『unis』のスーシェフを経てこちらのシェフに就任した内田 悟さんは、熟成肉専門店での修業経験を持つことから「熟成肉」をスペシャリテに据え、フロア内にウオークインの熟成庫も設えた。
「アスパラガス キャビア ノイリー」。
アスパラガスの中にはピスタチオやナッツ入りの鶏のムースが。
「ふくあかね アオリイカセルバチコ 日向夏」。
トマトのコンソメで和えたアオリイカなどを詰めたトマトのファルシにルッコラのソースを添えて。
黒毛和牛の血統とジャージー牛を掛け合わせた交雑牛「ジャー黒」を、溶岩石とコンベクションオーブンを駆使して焼く「熟成牛 わらび ピスタチオ」。
肉のポテンシャルを高める熟成を施したグリルと“才色兼備”な料理に陶酔したい。
贅沢な白木越しに見えるは雅な坪庭。このラグジュアリーさが心地いい
鮨の激戦区・西麻布に、この春降臨した新鋭『鮨玖』。各界のビッグネームが名を連ねていることでも話題を集めている。
まず、メニューを監修するのはパリ在住の鮨職人、渡邉卓也さん。かつて自身が手掛けた店『JIN』は、2014年にミシュラン一ツ星を獲得。その後ロンドンに開いた『Taku mayfair』も2023年に一ツ星に輝いた、剛腕の持ち主だ。
そして、唯一無二の空間を手掛けたのは、国内外で多くのレストランやホテルなどのデザインを手掛ける人気インテリアデザイナー・森田恭通さん。
全長8mの一枚板というなんとも贅沢な檜のカウンターや、プラチナをかけて窯で焼き上げた金属で“朝露に濡れた竹林”を表現した壁面などが、気分を高揚させてくれる。
「車海老とカリフラワーのムース」。
華やかな車海老の下にあるのは、トリュフ香るなめらかなカリフラワーのムース。すだちのジュレの酸味が爽やか。
「真鯛の握り」。
握りはコース内で10貫登場する。酢飯は砂糖不使用。米は、粒が大きくて甘みの強い会津のコシヒカリ。
日本全国から直接仕入れた旬の食材に渡邉さんがフランスで培ったエッセンスをちりばめた一品料理と、正統派の江戸前鮨とで構成されるコースは起伏に富み、グローバルな鮨の魅力に感性を刺激される夜になるだろう。
「THE AOYAMA GRAND HOTEL」の最上階に、こんなトラットリアが密かに誕生していたとは!
今年4月にリニューアルオープンした『Rossi』は、20階からの圧倒的な夜景を一望しながら、料理に舌鼓を打てるイタリアンのニューフェイス。
インテリアは、クラシックな趣も漂わせつつ肩肘張らずに過ごせるフランクな雰囲気。そして、厨房の熱気がダイレクトに伝わるオープンキッチンになったことで、フロア全体に一体感が。
好きなものを好きなだけ!最近忘れていたこの自由さに胸がときめく
ホテル全体の総料理長を務めるシェフ・毛利周太さんをはじめとするスタッフは、リニューアルに際して日本各地の生産者と交流を深めたという。素材感を重んじるイタリアンだからこそ、仕入れには妥協なし。
また、コース全盛のご時世にあってアラカルトメニューのみなのも、わがままな大人には嬉しいポイントだ。
手前より、調理する直前まで生きているオマール海老を使った「活けオマール海老のサラダ」¥4,800。ボリュームもたっぷりで、シェアしがいのあるひと皿だ。
左奥は、乳牛ではなく日本では珍しい水牛乳を使った「竹島さんの水牛モッツァレラと季節のフルーツ」¥2,700。この日のフルーツは濃厚な甘さがたまらない宮崎県産のマンゴー。
右はもちっとした食感のホームメイドのパスタに、和牛のいろいろな部位をじっくりと煮込んだラグーを合わせた「和牛ラグーとバジル ピチ」¥2,400。
ドレスコードはないが、思い思いにドレスアップして訪れたい、そんな注目のスポットだ。
正統派から創作系まで、多彩な店が群雄割拠する東京の焼き鳥シーンに、またひとつ注目店が仲間入り。
それがこの3月、『天ぷら浅沼』『焼鳥 髙はし』なども入居する日本橋の“予約困難ビル”にオープンした『炭焼TORI8』。
フレーバーオイルを駆使して、部位ごとに香りを変えるアレンジなどを効かせたコースを供する1軒だ。
独学で習得した緻密な焼きで“幻の地鶏”のポテンシャルは花開く
同店のスペシャリテが「つくね」。エアリーな口当たりから、ジュワッととろけるレアな食感が印象的。
見事な焼きに確かな実力を感じさせる店主・松山 陽さんは独学で研鑽を積み、名古屋の『焼鳥 吉祥』や『焼き鳥 茂 東桜』を一躍人気店へと押し上げた名手。
東京進出に際して新採用した鶏は、“幻の地鶏”と呼ばれる薩摩「黒帝」。
「この鶏の持ち味を最大限に引き出す150日間という長期飼育ならではの、濃い旨みと筋肉質過ぎない柔らかさが魅力」だそうで、1週間ほど寝かせてから使用する。
中まで焼き切りながらも表面はプルッと艶があり、一瞬レアかと思わせる「レバー」。
アサツキを巻き、上には九条ねぎのペースト、と2種のねぎを用いた「ねぎま」。
卵管にハーブ風味の鶏ミンチを詰めた「ちょうちん」。
胸肉をモチッと絶妙なレア食感に揚げた「チキンカツサンド」。
自家製粒マスタードと岩塩を添えて。
〆の「鶏ラーメン」。昆布と鶏ももからとった、透明感あふれるスープが滋味深い。麺は京都の製麺所から取り寄せ。
料理はすべてコース(¥14,500)より。
ワイン樽で設えられたカウンターでは、マニア垂涎の銘酒にも出合える
世界中から厳選された、こだわりのワインとのマリアージュに酔いしれたい。
贅を凝らした空間と料理は、強運をもたらしてくれる予感がする
店内に足を踏み入れると、目に飛び込んでくるのは一枚板の見事なカウンター。聞けば樹齢300年の檜を使っているという。職人の技が息づく網代天井や、銅を用いた壁面のアートも圧巻。
「ザ・ペニンシュラ東京」内にお目見えした『瑞兆』は、香港を皮切りにマカオ、シンガポールで日本の食文化を伝えている割烹だ。
香港の本店は4年連続でミシュラン一ツ星を獲得している実力派。満を持しての“逆輸入”となったこちらでは、この道30年の料理長・稲葉秀樹さんが腕を振るう。
日本料理をベースにしつつも、新しさや驚きを加味した料理は『瑞兆』ならでは。
また、ひとつのコースに鮨、蕎麦、牛肉料理など日本が世界に誇る品々を自在に盛り込むことで、海外からのゲストの満足度も高めている。
美しいサシの入った黒毛和牛の雌牛をカツに仕上げた「シャトーブリアン 藻塩 わさび」。
プレミアムおまかせコース(¥41,800)の一品。
「キャビア押し寿司」(¥8,800)はコースに追加可能。
ウニを混ぜた酢飯の上に、大トロと赤身を合わせて叩き薬味を加えたまぐろ、そしてキャビアを重ねた豪奢な一品だ。オリジナルの日本酒「Wa8 Silver」と。
店名の“瑞兆”とは「良いこと、めでたいことが起こる兆し」という意味。
大切な夜にこのカウンターをリザーブすれば、輝かしいゴールが待っているはずだ。
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