2010.11.22
変わりゆく東京、進化するグルメ 「東京美食エリアガイド」 Vol.16『八丁堀&新富町』
通える小箱の地 Part1
一等地かつ観光地の、銀座の隣。
なのに、流れる時間と空気の色が違う。
だから、通える小さな店が集まるのだ。
「完全貸切予約制」
八丁堀の一角にこの9月開業した『日本料理 エドア』の営業スタイルである。銀座から至近距離にありながら、通勤時間と昼休み以外、人気の少ないこのビジネス街に、ぽつんと開いたこの店は、一見、食器かインテリアのショールームと見紛う。大きな窓越しに見える小柄な店主・高村直子さんの、包丁を握る姿は儚げで、さらにここが何の店か朧気になってくる。
だが改めて言うまでもなく、ここは日本料理店。ホームパーティでお客に料理を振る舞う楽しさに開眼、OLを辞めて25歳で調理師学校に入学し、日本料理人を目指した高村さんが、友人ふたりと共同で開けた。銀座の日本料理店で約4年修業の後、1年間バイトに励んで開店資金を貯めた。
「会社を辞めた時から、独立して店を持つと決めていたんです」
『エドア』は、朝10時から夜0時までの間であれば、何時でも店を開ける。貸切でふたりから8名まで対応。料理は基本お任せだが、好みの食材を組み込んでもらうなどももちろん可能だ。時間内はたったひと組のお客に対してだけ、心を尽くす。このスタイルを採ったのはやはり、彼女の原点がホームパーティにあるからだ。
料理は潔く、極めてオーソドックス。旬の野菜や魚を、丁寧に調理し、料理に仕立てる。だが店が1日に使う食材は極めて少量。
「今日は銀杏5粒、きすを2尾…なんて買い方をしてるんです」
そう高村さんは笑うが、購入先は築地場内外の店。小売り対応が進んだとはいえ、ここまで少量販売してくれるのは、彼女が修業時代からこつこつとその店に通い詰めたからだ。今日来るお客のことだけを思い、必要な分だけを仕入れる。「日本で最もエコな店」と、彼女はまた笑う。日本酒も同様。少量しかはけなくとも、「日本料理は日本酒が一番」と、酒屋に通う高村さんならばと、酒が集まる。
開業から約3ヵ月。修業時代からのお客に加え、八丁堀近隣のお客もぼちぼちと増え始めた。
「今日のお客さまのためだけに」『エドア』が目指すおもてなしの姿が、ゆっくりゆっくり街に染み込むまであともうちょっとだ。
元々は酒屋店が始めた一角の立ち飲み。まさか、これほどまでに発展するとは、と見紛うほどの繁盛店に。フロアごとにスタンディング、炭火グリル、ビストロと分けたコンセプトも使い勝手が良い。
自然派のワインを揃え、壁一面に並ぶボトルがワインリスト代わり。気取りのない空間、ハムやソーセージの盛り合わせをスペシャルにするなど、パリのビストロ『ル・ヴェール・ヴォレ』そのもの。系列店も近所だ。
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