変わりゆく東京、進化するグルメ 「東京美食エリアガイド」 Vol.14

『白金高輪』
旬・白金北里通り商店街 Part1

都内屈指の高級住宅街にありながら、下町風情が残るこの通り。
飲食店が群雄割拠するこの地で、地元住人に愛される店とは?

ライブ感溢れるオープンキッチン。コース以外にアラカルトの用意も。¥800前後でグラスワインやスパークリングも楽しめる

オステリア エンメ

味のわかる地元客と店主のキャッチボールが
真摯な美味を生む。

卒業や上京を機に会えなくなった人と数年ぶりに再会した時、人はどんな反応を示すだろう? まぶしく思うか、悔しく思うか……。今回の場合、その両方だった。

といっても、異性の話ではない。飲食店の話だ。その店『オステリアエンメ』を訪れたのは6年以上前のこと。引っ越しを機に足が遠のいていたのだが、久しぶりに再訪して驚いた。奥に長い店内にカウンター席のみ。オープンキッチンの背後に掲げられた黒板にも変わりはないが、そこに記されたメニューが大幅に変わっている。オススメは、前菜8種とリゾットを含むパスタ10種を2品組み合わせた2780円のコース。

まずはバーニャカウダを味わう。温野菜、生野菜を花びらのように皿の縁に配し、中央には和食のごとき繊細なバーニャカウダソース。ひと口食べて思わずニンマリ。ふと思う。こんなに美味しかったっけ!?

パスタがまた旨い。ほぼ8割以上のメニューは手打ち麺で、その日入荷の旬食材に合わせて作られる。例えば、大ぶりの白魚と九条葱にはイカスミを練り込んだスパゲッティーニ。口中で、きゅきゅっと音を立てるほどの絶妙の硬さを保った麺は、和の食材と溶けあって優しく胃の腑に落ちてゆく。ポーションも絶妙。

「この辺りは味のわかる方が多いので、お客様に育てられたんですよ」。そう謙遜するのは、店主の佐々木学氏。もとい。元来の食い意地が頭をもたげ、次なるパスタをいただく。佐々木氏のおばあさまが福島で育てた烏骨鶏の卵とシャッキリとした歯ごたえの新鮮なアスパラが溶けあった、優しい黄色を全面に湛えた皿は、カルボナーラ風の味わい。トリュフの風味がそのひと皿に気品を添えている。

都内屈指の高級エリアでありながら、下町の雰囲気を併せ持つ白金北里通り商店街。そこに溶け込みたいと、夫婦二人三脚で看板のないトラットリアをオープン。味のわかる客に育てられた小さな店は、今やジャンルにとらわれない自由な料理を供する店として、地元客と遠方から来るリピーターで活況を呈す人気店へと成長した。

久しぶりに会った従姉妹が超美人になってる!そんな感覚を味わい、前出のまぶしいような、悔しいような感覚に陥った次第。

テウチソバキッコウ

手打そば 佶更

酒と酒肴、蕎麦が三位一体
この道30年の主人の新境地

立川で30年間愛された蕎麦の名店が、昨年10月末に移転オープン。北海道産のブレンド蕎麦粉を使う香味高い蕎麦のみならず、選りすぐりの銘酒と美味な酒肴もすこぶるつき。2度3度と通いたくなる一軒。

※こちらの店舗は『よるのKITCHEN』と店名を変え、リニューアルしております。掲載情報はリニューアル前の情報です。

ヤショクヤ 275

夜食屋275

ワンテーブルの美食店
究極のミニマムダイニング

大テーブルとハイテーブルがひとつずつ、わずか10席のダイニングだ。カルパッチョやフリットなど黒板に連なる料理はバリエーション豊富で1,000円台がほとんど。アットホームな雰囲気に興じたい。

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