三人の男たち~夫婦の問題~ Vol.3

神谷町のタワマンに住む31歳女。土日も不在の外コン夫に、ワンオペ育児に不満があるも…

◆これまでのあらすじ

数年ぶりに再会した、医師の陸と外資コンサル勤務のミナト、そして弁護士の幸弘。
3夫婦それぞれが、セックスレスという状況。

幸弘の妻である琴子は、将来子どもをいつ持つか、幸弘に相談する。だが「持ちたいと思ったことがない」と言われてしまい…。

▶前回:広尾に住む、共働きエリート夫婦。新婚当初から寝室を別にしたけれど、ある問題が…


義理両親の押しかけ訪問(小野幸弘・琴子夫婦)


「琴子さん、おはよう〜!あら、掃除したの?気を使わなくていいのに〜」

土曜日の午前10時。

義母の甲高い声が、琴子の頭に響く。

いつも通り、幸弘の両親が早朝から、広尾にある琴子のマンションに押しかけてきた。

幸弘は、いつも何も手伝ってくれないし、今日だって、朝早くから仕事だと言って、出て行った。

新婚当初は戸惑ったものの、琴子も最近は慣れた。

金曜日の夜は、1週間仕事を頑張った自分を労うために、リラックスして過ごすのが琴子の楽しみ。だが、昨日は食材を買い足し、家を隅々まで掃除し、今日のために万全の体制を整えた。

いくら琴子が完璧に準備したと思っていても、重箱の隅をつつくように何かしら欠点をほじくり出すのが、義両親の得意技なのだが…。

前回来た時にも、何かとケチをつけてきた。さて、今日は何を言われるのだろうか。

「あら〜、まだ寝室は別にしているの?そんなだから子どもができないのよ」

朝っぱらから何を言い出すかと思うものの、これもいつものこと。

「幸弘さんも私も寝る時間がバラバラなので、お互いの睡眠と健康のためなんです」

琴子は作り笑いを浮かべながら、定型文を棒読みで答える。

義母も、琴子の回答など聞いていない。

自分の荷物をドンとダイニングテーブルに置くと、部屋の隅々まで確認作業を行う。

「こんなところにゴミ箱を置いていたら、風水的に良くないわ」
「部屋の中に温かみが感じられないわ。こんなだから夫婦仲も冷えるのよ」

琴子が、お茶を淹れながら聞き流していると、義母がリビングに戻ってきた。

「あ、そうだ、これ。琴子さん、見てみて〜」

義母がケリーバッグから取り出したのは、金ピカの謎の神様の置物。

「これ!子宝に恵まれるらしいのよ。私のお友達のお子さん夫婦がね、不妊だったのに、これを飾ってから双子ができたんだって!一気に2人も産んだのよ?私も早速買っちゃった」

嬉しそうに微笑んだ義母は、謎の人形を勝手にソファ前にあるローテーブルの真ん中に飾る。

すると今度は、どっかりとソファに座りテレビを見ていた義父が、カバンからパンフレットを取り出した。

この記事へのコメント

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No Name
カリンはなぜ大事な仕事の電話だと思ったんだろう? カジュアルな会話だし金髪美女と不倫関係♡かもしれないのに😆
2024/04/19 05:2027
No Name
何なんだ?ミナトの亭主関白ぶりは!! 戦場で瀕死状態だから家に帰ってきて威張るんだろうけど。あと幸弘の両親、1泊2日してくなんて恐ろしいわ。もう教科書通りの前時代的な言動過ぎて白ける。
書き手はどっぷり昭和を生き抜いた方なのだろうか...
2024/04/19 05:2626
No Name
午前10時のあとに「早朝」から押し掛けてきたと書いてありました。 文章に起こす際の目安として早朝は 夜明けから1-2時間 とされており、だいたい午前5時から午前7時頃まで。 作家さんなら知っておいた方がいいと思います。
2024/04/19 05:3322返信5件
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